アボルブとは

アボルブとは、前立腺肥大症に用いるお薬で、尿の出が悪い、トイレが近い、残尿感があるなどの症状を改善します。

男性ホルモンのはたらきをおさえることにより、肥大してしまった前立腺を小さくすることで、効果をあらわします。

「5α還元酵素」とよばれる分類のお薬で、有効成分として「デュタステリド」が配合されています。

数多くある前立腺肥大症の治療薬のなかでも、比較的新しいタイプのお薬で、高い効果が認められています。

前立腺肥大症の薬物治療において中心となっているのは、α1遮断薬というタイプのお薬です。

これらは、前立腺部平滑筋にあるα1受容体を遮断することで、前立腺の収縮をさまたげて、排尿障害と蓄尿障害を改善するはたらきがあります。

具体的には、ハルナール(タムスロシン)ユリーフ(シロドシン)などが汎用されています。

これらのお薬は高い効果が期待できるうえ、即効性にも優れており、前立腺肥大における排尿障害の治療では第一選択とされています。

一方で、アボルブはホルモンに対して作用することができるお薬であり、肥大した前立腺そのものを小さくするはたらきがあります。

前立腺自体が大きくなっている(前立腺体積30mL以上)症例では、アボルブが第一選択として推奨されています。

大きな前立腺肥大症には特に有効性が高く、そのほかの抗男性ホルモン剤に比べて、性機能に対する影響が小さいといわれています。

英国のグラクソ・スミスクライン(gsk)から発売されており、海外では2001年から、国内では2009年から発売されています。

また、アボルブと同じ有効成分が配合されたお薬として、男性型脱毛症(AGA)治療薬の「ザガーロ」があります。

アボルブは、前立腺肥大症の発症においてかかわる、「ジヒドロテストステロン」の合成をさまたげる効果をもっています。

ジヒドロテストステロンは、前立腺において5α還元酵素により、男性ホルモンのテストステロンから変換されてつくられます。

よって、このときの5α還元酵素を阻害することにより、前立腺肥大症の治療効果を発揮するのです。

なお、前立腺がんの指標である、PSA値を50%低下させるはたらきもあるため、注意深くPSA値を観察する必要があります。

アボルブの効果・効能・作用機序

<アボルブの効能・効果> アボルブは、中高年の男性に好発する、前立腺肥大症の治療にもちいられるお薬です。

前立腺の肥大にかかわるホルモンの合成をさまたげることで、前立腺の体積を縮小させて効果をあらわします。

前立腺が異常に肥大してしまうと、尿道が圧迫されてしまい、さまざまな泌尿器のトラブルがあらわれてしまいます。

尿が出にくいという「排尿障害」や、尿がうまくたくわえられないことによる「蓄尿症状」、膀胱内の尿をうまく出せない「排尿後症状」などが挙げられます。

アボルブは前立腺の肥大を改善することで、これらのような症状を改善することが知られています。

ただし、アボルブの効能・効果が発揮されるまでには時間がかかる(遅効性)ことが知られているので、服用する際は注意が必要です。

前立腺の体積が30mLを超えるような、大きな前立腺肥大症では、特に有効性が高いことが知られています。

<アボルブの作用機序>

男性ホルモンのなかでも、特にジヒドロテストステロンは、前立腺肥大に関与する主なアンドロゲンであることが知られています。

アボルブに配合されているデュタステリドは、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する、1型および2型5α還元酵素を阻害することではたらきます。

ヒトにおける臨床成績においても、血清中および前立腺組織中のジヒドロテストステロン濃度の低下作用が認められています。

これまでにも、前立腺肥大症の治療薬としては、抗アンドロゲン薬である「プロスタール」などの黄体ホルモン製剤が用いられてきました。

しかし、男性ホルモンの本体であるテストステロンに直接拮抗してしまうため、女性化乳房や性機能障害などの副作用が問題となることがありました。

アボルブでは、テストステロンに対する直接的な拮抗作用はみられないため、これらの副作用がおこりにくいことが知られています。

効果があらわれるまでに時間はかかりますが、6か月間内服することにより、前立腺の体積が30%以上縮小したというデータもあります。

ただし、服用をやめると元に戻ってしまうこともわかっているので、自己判断による服用の中止には注意が必要です。

また、前立腺がんの指標としてもちいられる、PSA値を50%低下させるはたらきもあるため、服用中は注意深くPSA値を観察するようにしてください。

前立腺肥大と治療法

前立腺肥大症は、50歳以上の男性におこることの多い、泌尿器の疾患です。

前立腺は、下部尿道にあるくるみ大の大きさを持った臓器で、真ん中を尿道(おしっこの通り道)が通っています。

この前立腺が何らかの原因で異常に肥大すると、尿道を圧迫してしまい、膀胱刺激による頻尿と排尿困難をもたらします。

具体的には、排尿症状(尿が出にくい)や蓄尿症状(尿の回数が多い)、排尿後症状(残尿感がある)などが挙げられます。

そのほかに、急に尿意をもよおす、排尿時にいきむ必要がある、痛みをともなうということもあります。

これらのような症状を総称して、下部尿路症状(LUTS)とあらわします。 前立腺肥大症がさらにすすむと、尿が完全にでなくなる「尿閉」という危険な状態につながることもあるため、注意が必要です。

前立腺肥大症の原因としては、「男性ホルモン」の働きに加えて、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が関わると考えられています。

なお、前立腺肥大症は良性の腫瘍であるため、がんではありません。前立腺がんとは区別して考えられます。

40歳ごろからはじまり、60歳では男性の約60%が、80歳では男性の約80%が、前立腺肥大症を発症するといわれています。

中高年の方で、泌尿器のトラブルに心当たりがある方は、はやめに治療を開始することが重要です。

<診断> 前立腺肥大症の診断は、国際前立腺症状スコア(IPSSスコア)というアンケートによって、排尿障害の程度の問診がおこなわれます。 IPSSスコアでは、合計点数が0~7点を軽度、8~19点を中程度、20点以上を重度としています。

また、経直腸的超音波検査(肛門から専用の超音波プローブを挿入して、前立腺の様子を観察)や尿流測定、直腸診などが用いられます。

尿検査や血液検査によって血尿の有無や腎機能の検査をおこなったり、前立腺がんの可能性があるかどうかも調べます。

<治療> 前立腺肥大症の治療は、薬による治療(薬物療法)または外科的な治療(手術療法)がもちいられています。

薬物療法としては、アドレナリンα1受容体阻害薬(ハルナール、フリバスなど)が第一選択とされています。

そのほかにも、5α還元酵素阻害薬(アボルブ)、抗アンドロゲン薬(ルトラール、プロスタールなど)、植物・アミノ酸製剤(パラプロスト、セルニルトンなど)、抗コリン薬(デトルシトール)、フラボキサート(ブラダロン)、PDE-5阻害薬(ザルティア)、漢方薬などが用いられています。

これらで対処できない場合には、手術療法によって前立腺の切除をおこなうこともあります。

手術療法としては、開腹手術や経尿道的前立腺切除術(TUR-P)などが用いられています。

これは、内視鏡を用いて尿道から電気メスを挿入して、肥大した前立腺組織(腺腫)を尿道粘膜とともに切り取る技法です。

そのほかにも、現在では特殊なレーザ装置を用いた手術療法も開発されており、より低侵襲で治療がおこなえるようになってきています。

前立腺肥大とEDの関係

男性における泌尿器の疾患のなかでも、前立腺肥大症とED(勃起不全症)は、多くの方の悩みの種となっています。

前立腺肥大症は、くるみ大の大きさである前立腺が加齢とともに肥大していくことで、泌尿器などのさまざまなトラブルをひきおこす疾患です。

尿が出にくい(排尿障害)、尿の回数が多い(蓄尿障害)、排尿後に違和感がある(排尿後障害)といった症状があらわれることが一般的です。

EDは、「勃起不全」や「勃起障害」のことで、性交時に十分な勃起やその維持ができず、満足な性交が行えない状態のことをあらわします。

心因性EDと器質性ED(またはこれら2つの混合性ED)に分類されており、生活環境や既往歴などのさまざまな要因が考えられます。

これらの2つは、加齢によって多くの男性がかかる代表的な病気でもあり、もともとは関係ない別々の疾患としてと考えられていました。

しかし、はっきりとした仕組みは解明されていないものの、現在ではこれらの2つの疾患は、密接にかかわることが知られています。

前立腺肥大症により、骨盤内の血流が少なくなることや、勃起にかかわる神経が障害されることで、EDがおこると考えられています。

現在用いられているPDE-5阻害薬というお薬は、前立腺肥大症とEDのどちらに対しても、効果があることがわかっています。

なかでも、効果の持続時間が長い有効成分として「タダラフィル」は世界中で用いられており、高い治療効果が認められています。

前立腺肥大症では低用量製剤の「ザルティア」、EDでは「シアリス」という製品名で発売されています。

アボルブの飲み方

アボルブの服用方法は、下記の通りです。

・前立腺肥大症 成人では、デュタステリドとして1回0.5mgを1日1回、水またはぬるま湯で服用するようにしてください。

服用する時間帯に指定はありませんが、安定した効果を発揮させるために、毎日同じ時間に服用することがポイントです。 (食後投与では血中濃度に若干の変化がみられますが、治療に影響をおよぼす程度のものではありません。)

服用開始後、比較的早いうちから症状の改善が認められる場合もありますが、治療効果を判定するためには6か月程度の服用が必要です。

本剤の成分および他の5α還元酵素阻害薬に対して過敏症の既往歴のある方、重度の肝機能障害のある方、女性および小児は、本剤を服用しないようにしてください。

代謝酵素であるCYP3A4にかかわる薬剤を服用している方は、相互作用がおこる可能性があるので、専門家に相談したうえで服用するようにしてください。

カプセルの内容物が口腔内の粘膜を刺激することがあるので、カプセルは噛んだり開けたりしないようにしてください。

また、本剤は皮膚からも吸収されることがわかっているので、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないようにしてください。

(万が一、カプセルの内容物に触れてしまった場合には、直ちに石鹸および流水で洗い流すようにしてください。)

アボルブの副作用

アボルブでは、下記の副作用が報告されています。

・勃起不全、リビドー減退、乳房障害、女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房の不快感、じんましん、めまい、射精障害、腹部の不快感、だるさ また、重大な副作用としては、下記の副作用が報告されています。

・肝機能障害、黄疸 これらの症状に心当たりがある場合には、十分に注意をおこなうようにしてください。

アボルブの使用上の注意点

アボルブを使用する方は、下記の点に注意をはらうようにしてください。

・本剤の成分および他の5α還元酵素阻害薬(フィナステリドなど)に対して過敏症の既往歴のある方、重度の肝機能障害のある方は、服用をひかえてください。

・女性および小児は、本剤を服用しないようにしてください。皮膚からも吸収されることがあるため、カプセルから漏れ出た薬剤にも触れないようにしてください。

・本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため、CYP3A4阻害作用の強い薬剤(リトナビル、イトリゾールなど)とは併用しないようにしてください。

・本剤は血中半減期が著しく長いため、服用中止後も薬剤の効果が続くことに注意をしてください。

・前立腺がんの指標である、PSA値を50%低下させるはたらきもあるため、注意深くPSA値を観察するようにしてください。

・本剤の有効成分は、ヒトの精液中に移行することが知られています。オーラルセックスなど、女性に対して直接精液が触れる行為は、避けるようにしてください。

アボルブの子作りへの影響

<胎児に対する影響> アボルブやザガーロなどの「デュタステリド」を主成分としたお薬では、妊娠している婦人に投与されると、胎児に対する影響があると考えられています。

妊娠している女性に対しての臨床試験はおこなえないため、人体に対する本剤の影響を調べたデータはありません。

しかし、ラットおよびウサギを用いた臨床試験では、胎児に対する異常(雄胎児の外生殖器の雌性化)が報告されています。

これは、本剤の効果によって血中のジヒドロテストステロン量が低下して、男子胎児の外生殖器の発達がさまたげられたと考えられています。

(一方で、5α還元酵素の特性がヒトと類似している、アカゲザルを用いた動物実験では、胎児への影響は認められていないという報告もあります。)

アボルブやザガーロに配合されているデュタステリドは、服用しているヒトの精液中に移行することが知られています。

精液を介して女性に作用する可能性もあるので、本剤の影響がある期間(1~6か月程度)は、子作りは避けた方が良いでしょう。

コンドームを用いた性行為は問題ありませんが、ピルや子宮内避妊用具など、精液が女性に直接触れる方法は控えるようにしてください。

オーラルセックスなどについても、同様の理由から控えるようにしてください。

<性機能に対する影響> アボルブは、プロスタールなどの抗アンドロゲン薬に比べて、性機能に対する副作用が少ないことが知られています。

しかし、勃起不全症などの副作用も一部では報告されているため、子作りに対する影響は否定できません。

性欲の低下や、性行為時の中折れなどがみられる場合では、本剤の影響を考慮するようにしてください。

性機能障害の治療薬であるバイアグラやシアリスなどのPDE-5阻害薬は、前立腺肥大症に対して影響があることも知られています。

特に、シアリスに配合されている「タダラフィル」を有効成分としたザルティアは、前立腺肥大症の治療薬として用いられています。

子作りを希望している方で、アボルブによる性機能障害の治療をおこなう際には、主治医に必ず相談するようにしてください。

<子作りをおこなう場合には> アボルブの胎児に対する影響は解明されていませんが、発売されてからまだまだ使用経験は少なく、安全性が確立されているわけではありません。

万が一のことがあってはならないので、子作りを希望する場合では、本剤の服用を中止することがおすすめです。

しかし、自己判断でいきなり中止してしまうと、前立腺肥大症の症状が悪化してしまう可能性があるため、専門家に相談のうえで服用を中止してください。

また、アボルブは半減期(血液中のお薬が半分になるまでの時間)が非常に長いことが知られています。

臨床試験によると、継続して服用している方(反復投与時)の消失半減期は、3週間前後とされています。

本剤の服用を中止してから子作りを行うまでの期間は、最低でも1か月以上を空けたほうが良いでしょう。

また、半減期以降も薬剤の成分は残っており、体内から完全に有効成分が排泄されるまでには、6か月程度が必要となります。

パートナーと妊娠を希望する時期について相談をしたうえで、医師の指導のもとで服薬を中止するようにしましょう。

アボルブの価格

アボルブは保険収載薬であるため、お薬の価格は国が「薬価」として公式に決定しています。

これによって、日本全国どの医療機関においても、公平な価格で医療をを受けることができるのです。

薬価は1~2年に1回のペースで改定されますが、2019年1月現在では、0.5mg1カプセルあたり210.1円となっています。

1か月(30日)あたりの合計薬価は6,300円となり、これに診察料や検査料、調剤料が加算されます。

保険診療では自己負担は1~3割負担となるため、実際の負担額はさらに軽減されます。

なお、アボルブは比較的新しいお薬であるため、国内ではジェネリック医薬品(後発医薬品)は発売されていません。

なお、同一の有効成分が配合されている男性型脱毛症’(AGA)治療薬の「ザガーロ」は、保険収載されていないお薬です。 医療機関ごとに異なる価格で処方されるため、注意が必要です。

アボルブの入手方法

アボルブは、「処方せん医薬品」に指定されているお薬であるため、医師の処方せんによってのみ交付を受けることができます。

コンビニやスーパーはもちろんのこと、ドラッグストアや調剤薬局であっても、直接購入することはできません。

内科や泌尿器科などの専門の医療機関を受診して、前立腺肥大症の診断を受けることにより、処方せんが発行されます。 (症状や体質によっては、アボルブ以外のお薬が選択されることもあります。)

受け取った処方せんを調剤薬局に持参することで、ようやくお薬の交付を受けることができます。

取り扱いに注意する点も多いお薬なので、薬剤師の適切な服薬指導のもとで使用をおこなうようにしてください。

アボルブは日本国内の商品名であるため、海外からの通信販売や個人輸入でも購入することはできません。

しかし、アボルブはもともと欧米では「アボダート」という異なる商品名で販売されているお薬です。

こちらは、インターネットなどを介した海外通信販売でも見つかることが多く、自己使用を目的とする場合に限り、個人輸入が可能です。

しかし、海外からの輸入品のなかには、偽物が混ざっていることも多いので、信頼できるサイトを用いるようにしましょう。

また、アボルブは注意点の多い医薬品でもあるため、医師の診察を受け、専門家の指示のもとで治療をおこなうことが重要です。

アボルブとザガーロの違い

アボルブとザガーロは、対象となる疾患は異なりますが、同じ有効成分が配合されたお薬です。

有効成分として配合されている「デュタステリド」は、もともとは前立腺肥大症の治療を目的として開発された成分です。

英国のグラクソ・スミスクライン(gsk)によって開発され、2001年に米国FDAにて、前立腺肥大症治療薬として承認されました。

その後、発毛を促すはたらきがあることにも注目され、男性型脱毛症の治療にも用いられるようになりました。

国内では2009年7月に前立腺肥大症治療薬の「アボルブ」として、2015年9月に男性型脱毛症治療薬の「ザガーロ」として承認されています。

アボルブおよびザガーロは「5α還元酵素阻害薬」に分類されるお薬で、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害します。

ジヒドロテストステロンは前立腺においては前立腺肥大症の、頭部においては男性型脱毛症の進行にかかわることが知られています。

アボルブとザガーロには同じ有効成分が配合されていますが、それぞれ異なる適応のお薬で、使用する目的が異なっています。

パッケージや規格、薬価(薬の値段)も異なるので、使用する際には注意が必要です。

アボルブは0.5mgカプセルのみ発売されているお薬で、前立腺肥大症の改善に用いられています。

保険収載されている医薬品で、2019年1月の時点では、1カプセル当たり210.1円の薬価が付けられています。

ザガーロは0.1mgカプセルと0.5mgカプセルの2種類が発売されていますが、保険収載されていないため、自費診療として用いられています。

医療機関ごとに治療費は異なりますが、アボルブの1.5倍程度の価格で処方されており、1か月当たり8,000円~12,000円程度が必要です。

ザガーロの代わりにアボルブを使用することも、医薬品の有効成分上は問題ありませんが、適応外使用となるため推奨されていません。

アボルブとザルティアの違い

アボルブとザルティアは、いずれも前立腺肥大症の治療薬として用いられるお薬です。

これらの2剤は作用の仕組みが全く異なりますが、いずれも比較的新しいタイプのお薬であり、高い治療効果が期待されています。

日本国内において、アボルブは2009年から、ザルティアは2014年から使用がはじまっています。

アボルブは「5α還元酵素阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「デュタステリド」が配合されています。

これまで用いられた抗アルドステロン剤とは異なり、テストステロンそのものではなく、5α還元酵素を作用点としていることが特徴です。

テストステロンには影響を与えず、前立腺肥大症の発症と進行にかかわる「ジヒドロテストステロン」の合成をさまたげることで、効果を発揮します。

前立腺の縮小効果が認められており、テストステロンに影響を与えにくいことから、性機能障害をおこしにくいという特徴もあります。

ザルティアは、「低用量PDE-5阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「タダラフィル」が配合されています。

タダラフィルを有効成分とした薬剤としては、勃起不全症治療薬の「シアリス」や肺動脈性肺高血圧症治療薬の「アドシルカ」も発売されています。

ザルティアは、血管平滑筋や内尿道括約筋のPDE5を阻害することや、求心性の神経活動を抑制することによって効果を発揮します。

尿道や前立腺の筋肉の緊張をやわらげ、尿道内部の圧力を下げることで、排尿症状と蓄尿症状を同時に改善するはたらきがあります。

国際前立腺症状スコア(IPSSスコア)での改善率は、前立腺肥大症の第一選択薬である、α1遮断薬とほぼ同等の効果が示されています。

高齢者にも安全に使用できるお薬ですが、併用禁忌例も多いため、服用する際には専門家の指示をしっかりと守ることは重要です。

アボルブとプロスタールの違い

アボルブとプロスタールは、いずれも前立腺肥大症の治療薬として用いられるお薬です。

抗アンドロゲン作用がみられるという点では、これらの2剤は同じ役割を持ったお薬ですが、アボルブの方が効果が高く、副作用も少ないことが知られています。

プロスタールは1981年に発売されたお薬で、黄体ホルモン(女性ホルモンの一種)を主成分としたお薬です。

男性ホルモンに直接拮抗することで効果を発揮しますが、その際に男性ホルモンのはたらきを弱めてしまうことで、インポテンツなどの性機能障害をおこしやすいことが知られています。

アボルブはプロスタールの欠点を解消したお薬でもあり、2001年(国内では2009年)に英国のグラクソ・スミスクラインより発売されました。

直接的に男性ホルモンに拮抗するのではなく、5α還元酵素を作用点としていることが特徴です。

アボルブは「5α還元酵素阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「デュタステリド」が配合されています。

男性ホルモン(テストステロン)そのものに拮抗するのではなく、5α還元酵素にはたらきかけることが特徴です。

テストステロンには影響を与えず、前立腺肥大症の発症と進行にかかわる「ジヒドロテストステロン」を減少させることで、効果を発揮します。

前立腺の縮小効果が認められており、テストステロンに影響を与えにくいことから、性機能障害をおこしにくいという特徴もあります。

プロスタールは、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」に分類されるお薬で、有効成分として「クロルマジノン酢酸エステル」が配合されています。

黄体ホルモンを補うお薬で、男性の前立腺肥大症や前立腺がんの治療にももちいられるほか、低用量では婦人科領域で使用されています。

黄体ホルモンには、男性ホルモンに拮抗する抗アンドロゲン作用がみられるため、肥大した前立腺を小さくするというはたらきがあります。

ただし、テストステロンそのものに拮抗するため、性機能障害や女性化乳房などの副作用がみられることがあります。

アボルブの発毛効果

アボルブの主成分である「デュタステリド」と同じ成分が配合されているお薬として、ザガーロがあります。

ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン」は、前立腺では前立腺肥大症をひきおこしますが、頭皮(特に毛乳頭細胞)では脱毛症をひきおこします。

アボルブとザガーロの間に有効成分としての違いはなく、薬の吸収される仕組みも同じタイプの製剤であるため、アボルブにもザガーロ同様の発毛効果を期待することができます。

用法用量においても、アボルブは1日1回0.5mg、ザガーロは1日1回0.1mg(必要に応じて0.5mg)としてもちいられています。

用量が多いほうが効果が高いとは一概には言い切れませんが、ザガーロとして用いる際の最大量が、アボルブには配合されています。

男性型脱毛症と前立腺肥大症をお持ちの方が、アボルブによって前立腺肥大症の治療をおこなっている際に、発毛がみられることも十分に考えられるのです。

<医師がアボルブを脱毛症に対して処方することはある?> 脱毛症で用いられているザガーロでは、1か月に8,000円~12,000円程度の治療費用が必要となります。

この価格は0.1mgの規格の費用であるため、0.5mgまで増量をおこなう場合では、費用はさらに高くなってしまいます。

一方で、アボルブとして処方をおこなった場合、0.5mgカプセルの1か月(30日)あたりの薬剤費は、2019年1月現在で6,300円程度となります。

1~3割負担となれば自己負担は600円~1,800円程度となるため、非常に魅力的ですね。

ただし、医薬品の説明書である添付文書において、「保険給付上の注意」として下記の内容が記されています。

1.本製剤の効能・効果は、「前立腺肥大症」である。  

2.本製剤が「男性における男性型脱毛症」の治療目的で処方された場合には、保険給付の対象としないこととする。

前述のように、ザガーロの代わりにアボルブを使いたいと考える患者さんは多いものですが、医師がアボルブを脱毛症のために保険を用いて処方することは、固く禁じられています。

AGA(男性型脱毛症)のクリニックから、前立腺肥大症の診療報酬請求が大量に行われた場合、すぐに発覚して請求の取り消しがおこなわれてしまうでしょう。

(アボルブを男性型脱毛症に処方しているクリニックもありますが、あくまで自費診療の範囲内です。)

アボルブとアボダートの違い

アボルブとアボダートは、同一の有効成分が配合されたお薬であり、同じ会社から同じ規格で発売されています。

名称やパッケージなどは一部異なりますが、発売されている国が異なっているだけで、基本的には同じお薬といえます。

有効成分である「デュタステリド」は、もともとは英国のグラクソ・スミスクライン(gsk)という製薬会社が開発した有効成分です。

前立腺肥大症の治療薬として開発され、製造販売承認を取得する際に付けられた製品名が「アボダート」です。

海外で製造販売承認を取得したとしても、日本国内で販売をおこなうためには、日本の製造販売承認を取得しなくてはなりません。

そこで、日本のグラクソ・スミスクライン株式会社が、2009年に国内で製造販売承認を取得して、付けられた製品名が「アボルブ」というわけです。

このように、販売国に応じて医薬品の名称やパッケージを変更することは、製薬業界においては珍しくありません。

アボルブとアボダートは同じ有効成分が配合されている製品であり、ほぼ同じ効果を期待することが出来ます。

(ここで「ほぼ」としたのは、製造方法や原薬の調達ルート、添加物の種類などが一部異なる場合があるためです。)

しかし、アボダートは国内では未承認の医薬品であるため、正規のルートで入手することはできません。

国内で医師の処方せんによって入手できる医薬品は、2019年現在では、すべて「アボルブ」となります。

海外から輸入されたものが流通していることもありますが、中には偽物が混ざっていることもあるため、注意が必要です。

アボルブとハルナールの違い

アボルブとハルナールは、いずれも前立腺肥大症の治療薬として用いられるお薬です。

それぞれ作用機序が異なるお薬であり、使い分けることや併用することもあります。

アボルブは、新しいタイプのお薬で、時間がかかるが前立腺を小さくするという特徴があります。

ハルナールは、古くから男性の排尿障害において第一選択とされており、即効性が高く、前立腺や尿道の筋肉をゆるめるはたらきがあります。

アボルブは「5α還元酵素阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「デュタステリド」が配合されています。

前立腺肥大症の発症と進行にかかわるホルモンである「ジヒドロテストステロン」を減少させることにより、治療効果を発揮します。

前立腺そのものを小さくするはたらきがありますが、効果があらわれるまでに数か月を要するため、継続的な服用が必要となります。

臨床試験では、6か月間の服用によって、前立腺の体積が約30%減少したことが報告されています。

ハルナールは「α1阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「タムスロシン塩酸塩」が配合されています。

前立腺や尿道の筋肉の緊張をやわらげ、尿道内部の圧力を下げることで、前立腺肥大症における排尿障害を改善します。

男性の前立腺肥大症における排尿障害では、ハルナールに代表されるα1阻害薬(特にα1Aに親和性があるもの)が第一選択とされています。

(前立腺自体が大きくなっている(前立腺体積30mL以上)症例では、アボルブが第一選択として推奨されています。)

ハルナールの有するα1遮断効果は、従来用いられていたプラゾシンの2.2倍、フェントラミンの40倍の強さであることがわかっています。

アボルブとユリーフの違い

アボルブとユリーフは、いずれも前立腺肥大症の治療薬として用いられるお薬です。

それぞれ作用する仕組みが異なるお薬であり、別々に使い分けることや、2剤を併用することもあります。

アボルブは、比較的新しいタイプのお薬で、効果があらわれるのに時間を要しますが、前立腺そのものを小さくするはたらきがあります。

ユリーフは、男性の排尿障害において第一選択とされているタイプのお薬で、前立腺や尿道の平滑筋をゆるめるはたらきがあります。

アボルブは「5α還元酵素阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「デュタステリド」が配合されています。

「テストステロン」から「ジヒドロテストステロン」へ変換されるのをさまたげることにより、前立腺肥大症の治療効果をあらわします。

前立腺そのものを小さくするはたらきがあり、前立腺自体が大きくなっている(前立腺体積30mL以上)症例では、アボルブが第一選択として推奨されています。

なお、前立腺がんの指標である、PSA値を50%低下させるはたらきもあるため、服用中は注意深くPSA値を観察する必要があります。

ユリーフは「α1阻害薬」に分類されるお薬で、有効成分として「シロドシン」が配合されています。

α1受容体には、α1A、α1B、α1Dの3つがありますが、肥大した前立腺においては、α1Aが最も多いことがわかっています。

ユリーフは、α1阻害薬のなかでも、最もα1Aに親和性が高いことが知られており、血圧低下などの副作用がおこりにくいとされています。

前立腺や尿道の筋肉の緊張をやわらげ、尿道内部の圧力や尿道の抵抗を下げることで、前立腺肥大症における排尿障害を改善します。