【ED治療薬】レビトラの効果・飲み方・注意点など

目次

レビトラについて

レビトラは、勃起不全症(ED)治療薬の一つであり、多くの男性の悩みである中折れや勃起力の不足を改善します。PDE-5阻害薬とよばれる種類のお薬で、有効成分として「塩酸バルデナフィル水和物」が配合されています。

バイエル薬品から2004年6月に発売されたお薬ですが、2021年10月に販売中止がアナウンスされており(※後述)、現在ではジェネリック医薬品のみが流通しています。

同じ分類のお薬にはバイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)、シアリス(タダラフィル)、ステンドラ(アバナフィル)などがありますが、食事との影響が少なく、即効性にも優れることが特徴です。

レビトラの製品名には「男性の生命」という意味があり、フランス語で「男性」をあらわす定冠詞の「le(レ)」と、ラテン語で「生命」をあらわす「vitra(ビトラ)」が組み合わされています。

「若い頃のような性行為を行いたい」「何度もくり返し性行為を楽しみたい」「女性を満足させたい」という、男性の希望をかなえてくれる画期的なお薬であり、世界中で用いられています。

バイアグラの弱点を改善したレビトラ

バイアグラは、世界初のED(勃起不全症)治療薬として発売された画期的な医薬品です。もともとは狭心症の治療薬として開発が進められていましたが、勃起力を高める効果が見つかり、ED治療薬として製品化されました。使用実績が豊富で、効果にも優れるバイアグラですが、もともとがED治療を目的としていないこともあり、いくつかの欠点が知られています。

代表的なものとしては、食事との影響を受けやすいことや、効果が出るまでに時間がかかることなどがあり、ED治療薬として使用する場合には注意が必要です。

レビトラの有効成分は、バイアグラの有効成分とよく似た構造をしていますが、最大の違いは有効成分を水和物(水に溶けやすい物質)とすることで、吸収性や溶解性が改善されている点です。これにより、食事の影響を受けにくいだけでなく、即効性も高められています。

また、レビトラには早漏の改善作用があることも、海外の一部の研究において報告されています。臨床試験が行われているわけではないので、正式に認可を受けているわけではありませんが、レビトラの可能性の一つとして注目されています。

ED専門のクリニックにおいても、EDだけでなく早漏に悩む男性には、レビトラを優先的に処方する医師もみられます。

レビトラの販売停止について

2018年1月初旬頃より、海外工場でのレビトラの製造が遅れ、供給が停止する状況が続いていました。その後、2021年10月に販売元であるバイエル薬品は、次回以降の生産及び入荷の目途が立たず、今後も安定した供給が困難であると判断し、販売中止をアナウンスしています。

レビトラ20mgは2022年1月、5mgおよび10mgは2022年3月をもって出荷が終了となりました。先発医薬品であるレビトラの販売は終了されていますが、同一の有効成分が配合されたジェネリック医薬品は、販売が継続されています。有効成分は全く同じであり、効果や用法に変わりはないため、安心して服用していただけます。

レビトラのジェネリック医薬品(国内)

国内では、2020年6月3日には沢井製薬株式会社が、2020年7月8日には東和薬品株式会社が、厚生労働省より認可を受けており、レビトラのジェネリック医薬品が発売されています。

配合されている有効成分は、先発医薬品と同じ「バルデナフィル塩酸塩水和物」なので、効果や用法に違いはありません。

また、ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べ、安価に販売されているため、経済的なメリットもあります。

※2023年現在では先発医薬品のレビトラが販売を中止しているため、国内のクリニックではジェネリック医薬品のみが処方されています。

レビトラのジェネリック医薬品(海外)

レビトラのジェネリック医薬品は、海外においても複数の製品が販売されています。代表的なものとして、インドの大手製薬会社であるアジャンタファーマ社が製造販売する「バリフ」や、サバメディカ社が製造販売する「サビトラ」などが知られています。

これらの製品は国内では認可されていないため、クリニックなどで処方されることはありませんが、輸入代行業者等を通して個人輸入によって入手することが可能です。

個人輸入では、日本で使用できない薬を「自己疾病の治療の目的」に限り、海外から輸入することが可能です。国内の正規ジェネリック医薬品よりも安く購入できる場合が多い一方で、重篤な副作用を発症した場合、国の医薬品副作用救済制度を受けられません。

また、個人輸入代行業者の一部には、偽物や不衛生な環境で製造した製品を仲介している場合もあるため、購入する際は信頼できる輸入代行業者を選ぶことが重要です。

レビトラの服用方法

レビトラでは、5mg、10mg、20mgの3つの規格が発売されています。レビトラの添付文書によると、基本用量は1日1回10mgとして、性行為の約1時間前に服用することでED治療効果が発揮されます。

実際には20分程度で効果があらわれるといわれていますが、血中濃度のピークは1~2時間であることがわかっているので、なるべく1時間前に服用することがおすすめです。

10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全の方においては、20mgに増量することが認められています。(65際以上の高齢者および中等度の肝障害のある方は、5mgから開始して、10mgを最高用量とするようにしてください。)

服用する間隔は、1日1回の使用にとどめなくてはならないため、24時間以上あけるようにしてください。

レビトラの臨床試験において、40mgの投与を検討したものもありますが、治療用量としては認められていません。

また、海外で行われた臨床試験として、健康成人男性に対して120mgの単回投与が行われましたが、有益性は明らかになっていません。その際に副作用として一過性の背部痛、筋肉痛、視覚異常がみられましたが、重篤な有害事象はみられませんでした。

レビトラの作用時間

レビトラの作用時間はバイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩)よりやや長く、シアリス(タダラフィル)より短いことがわかっています。服用してから4~10時間程度効果が持続するといわれており、1度の服用で複数回の性行為を楽しむことができます。

また、一度に服用する用量によって、EDを改善する効果の持続時間が変わることも分かっています。

持続時間の目安としては、10mgで服用後は4~5時間、20mgで服用後8~10時間程度です。(添付文書によると、半減期はそれぞれ10mg群では 3.19時間、20mg群では3.98時間、40mg群では5.33時間となります。)

ただし、用量の増加によって副作用があらわれやすくなる可能性があるため、長時間の効果を目的とする場合には、半減期の長いシアリスを検討することがおすすめです。

レビトラと依存症

レビトラに頼りきりになってしまうと、依存性があらわれるのではないかと考える方もいますが、その心配はありません。レビトラは、陰茎における海綿体のcGMP濃度を上昇させ、平滑筋をゆるめて血流を増やすことで、勃起力を高めます。

抗不安薬や睡眠導入剤のように、脳や神経(中枢)にはたらきかけるお薬ではないので、依存性が問題となることはほとんどありません。ただし、ひとたびレビトラの効果を体験してしまうと、薬なしに性行為を行うことに不安を感じてしまい、精神的な依存が起こることがあります。

レビトラは服用した時のみ効果を発揮するお薬であり、EDそのものを治療するはたらきはありません。EDの原因を取り除かない限りは、服用をやめてしまうとEDが起こってしまい、レビトラを服用したいと考えるようになるのです。

また、お薬によっては長期的な服用によって体が慣れを起こしてしまい(耐性)、用量を増やさなくては同じ効果が得られないものもあります。

しかし、レビトラにおいては耐性が形成されることは報告されていないので、既往歴や併用薬、忍容性に問題がなければ、長期的に服用していくことが可能です。

レビトラが効かない場合

レビトラはバイアグラの改良版ともいえるお薬であり、高い効果が認められています。しかし、EDの中には、レビトラを含むED治療薬そのものが効かないという症例もあるので、服用に際しては注意が必要です。

服用を続けても効果があらわれないだけでなく、副作用が出てしまったり、EDが悪化してしまうおそれもあります。

レビトラが効かないと感じた場合には、むやみやたらに服用を続けるのではなく、無効例でないか判断することが重要です。

レビトラと食事・お酒の影響

食事の影響

レビトラは、他のED治療薬と比べて食事の影響を受けにくいことが知られていますが、食事の種類や量によっては、レビトラの有効成分の吸収に影響をおよぼしてしまうこともあります。

レビトラを製造販売するメーカーの資料によると、標準的な食事であれば、お薬の血中動態に大きな変化はみられないことがわかっています。ここでの「標準的な食事」とは、総エネルギーに占める脂肪の割合が約30%と定義されています。

食後にレビトラを服用しなければならない場合には、脂肪の割合が高い「高脂肪食」は避けるようにしましょう。

また、即効性を高めたい場合や、最大限の効果を発揮させたい場合には、空腹時の服用が推奨されています。空腹時とは、食事の30分以上前、食後2時間以上経過した後のことをあらわしています。食事と性行為の時間が大きく離れていない場合には、食事の30分前に服用するようにしましょう。

お酒の影響

レビトラの添付文書によると、レビトラの服用中にお酒を飲むことは、必ずしも禁止されているわけではありません。

お酒は少量であればリラックス効果を高めることもありますが、大量に飲みすぎると効果が半減するだけでなく、副作用にもつながります。アルコールそのものに中枢抑制作用や血管拡張作用もあるので、治療中の病気のある方は、アルコールの飲用は控えるようにしましょう。

また、アルコールは脳からの神経伝達を妨げることもあるので、お酒自体がEDを引き起こすことも知られています。

勃起や射精に悪影響を与えてしまうため、飲酒がEDにつながることのないように、飲酒量をうまくコントロールしましょう。

グレープフルーツジュースの影響

レビトラとグレープフルーツジュースの併用は禁止されていませんが、グレープフルーツジュースを摂取している場合、レビトラの作用が過剰にあらわれる可能性があります。

グレープフルーツジュースは、薬物代謝酵素CYP3A4を阻害します。レビトラはCYP3A4により代謝されるため、代謝されずに薬の血中濃度が上昇して、その結果作用が過剰になるおそれがあります。

類似薬のシアリスは一緒に飲むことで作用が過剰に現れる可能性があるため、併用注意になっています。そのため、レビトラでも同様のことが起こる可能性があるので注意してください。もし、グレープフルーツジュースを飲んだ場合は、4日以上間隔をあけるようにしてください。

レビトラの特徴

完全なEDでない方も服用可能

レビトラは、完全なEDの方だけでなく、ペニスの中折れなど軽いEDや中程度のEDの症状があらわれている方においても、効果が期待されています。

軽いEDや中程度のEDには、「性交渉中に勃起が継続せず中折れしてしまう」、「勃起に必要な力が弱くなった」、「性交渉が終わった後も、再び勃起できないので連続して行うことができない」、「勃起に時間を要する」などがあります。

また、精神的に勃起できなくなる理由の一つに、性交渉時の緊張で起こることがあります。そのような時に前もってレビトラを服用することで、精神的な不安を取り除くこともできます。

該当する方は、少量から服用することにより、副作用を軽減することが期待されています。ただし、健康な状態で服用すると陰茎(ペニス)に障害が起こる可能性があるため、不用意なレビトラの服用はせず、必要時に使用するようにしてください。

過去にレビトラや他のED治療薬を使用して副作用があらわれた方、飲み合わせがよくない他のお薬を服用している方、過去に病気をしたりしてレビトラを服用できない方は、服用を避けて下さい。

性的刺激なしでは勃起しない

レビトラなどのED治療薬は、催淫作用をもたらしたり、性欲を高めるためのお薬ではありません。勃起のメカニズムとして、性的刺激を受けることで、脳から「勃起するように」という指令が送られます。

この指令が陰茎(ペニス)に伝達されると、ペニスの陰茎海綿体と呼ばれる動脈血管の部分が広がり、血流が良くなることで勃起が起こります。

しかしEDの場合、ペニスの陰茎海綿体の動脈部分が拡張されないため、十分に血流が流れることができずに勃起が達成されない、もしくは勃起できないという症状があらわれたりします。

性的な刺激を受けることによって勃起が達成されるため、レビトラを服用している間、勃起が継続するわけではありません。

レビトラの精子・胎児への影響

現段階の医学研究では、レビトラの使用によって、男性精子や受精後の胎児への影響を示したという報告はありません。精子の運動量や数、射精時の精液量についても、影響ないことが知られているため、安心して服用していただくことが可能です。

レビトラの注意点

女性のレビトラ服用について

現段階では、女性に対してレビトラを使用したデータがなく、効果や安全性が実証されていません。レビトラの添付文書でも、女性に対しての適応は無い旨の記載があるため、女性は服用しないようにしてください。

妊娠中の方にバイアグラを服用した臨床試験がオランダで行われましたが、新生児11人が死亡、早産で生まれた他の新生児の肺病発症を受けたため中断されました。

胎児の発育遅れの有効性と安全性を検証するため、胎盤の成長がよくなかった女性にバイアグラを使用しました。そのバイアグラによる血流の増加が、かえって新生児の肺に影響を与えてしまったと考えられています。

レビトラの心臓への負担

レビトラの服用によってEDが改善されると、性交渉時にいつも以上に身体を動かすようになり、心臓への負荷が増加します。健康の方であれば問題ありませんが、高齢の方や普段運動しない方については、特に注意が必要です。

主な対処方法は、日頃から身体を動かすことです。特に運動が健康にも心臓への負担にも良いとされています。

狭心症や心筋梗塞など、心臓や血管に病気のある方は、使用する前に医師に確認するようにしてください。

また、これらの症状でニトログリセリンを服用している方は、致命的な副作用があらわれる可能性が高いため、併用は禁忌となっています。

降圧剤と併用する場合

レビトラには血管を広げる作用があり、一部の高血圧治療薬と併用することで血圧が下がり過ぎてしまうことがあります。

そのため、併用するのに注意が必要な高血圧のお薬がいくつかあるので、下記に記載します。  

レビトラと併用するのに注意しなければならないお薬には、バソメット(成分名:テラゾシン)、カルデナリン(成分名:ドキサゾシン)、ミニプレス(成分名:プラゾシン)等があります。

これらはα受容体を遮断する作用のある高血圧治療薬であり、血管を緩ませることで血圧を下げる効果があります。ただ、レビトラとの間接的な相乗作用によって血圧が下がり過ぎてしまい、低血圧になるリスクがあります。

α受容体遮断薬は、併用禁忌ではありませんが併用注意になります。該当する場合は、使用する前に医師に相談してください。  

他の高血圧薬は併用に注意する記載がありませんが、血圧が低下するおそれがあります。

もし、ふらつきがあらわれた場合には、服用を中止して横になり安静にしてください。

時間が経過しても症状が改善しない場合には、医師の診察を受けるようにしてください。

レビトラの副作用

レビトラの主な副作用に、頭痛・鼻づまり・ほてり・動悸・めまい・消化不良などがあります。

国内での臨床試験においても、バルデナフィル5mg,10mg,20mgを使用した913例において257例(41.40%)に副作用が報告されています。

主な副作用としては、ほてりが143例(15.66%)、頭の痛みが51例(5.59%)、鼻づまりが27例(2.96%)、動悸27例(5.59%)等でした。  

海外の臨床試験においても、バルデナフィル5mg,10mg,20mgを使用した7,080例において、2,206例(31.16%)に副作用が報告されています。

主な副作用に、頭の痛みが871例(12.30%)、ほてりが749例(10.58%)、鼻づまりが313例(4.42%)、消化不良230例(3.25%)および眩暈125例(1.77%)等でした。  

また、市販後の使用成績調査(承認を受けた後)3,118例においても、78例(2.5%)に副作用が報告されました。

主な副作用として、ほてり39件(1.25%)、頭の痛み14件(0.45%)、動悸12件(0.38%)、鼻づまり9件(0.29%)等でした。  

その他の副作用に、高血圧、動悸、脈が速くなる(頻脈)、不眠症、異常感覚、眠気、眩暈、肝機能検査異常、γ-GTP上昇、呼吸困難、副鼻腔うっ血、鼻出血、背部痛、筋肉痛、掻痒感、発汗、紅斑、吐き気、嘔吐、お腹の痛み、下痢、口の中が乾燥する、胃炎資格異常、霧視、彩視症、結膜炎、眼痛、羞明、耳鳴り、涙が流れる、無力症、胸の痛み、灼熱感、CK(CPK)上昇、異常感、勃起増強による痛みが0.1%〜1%未満の頻度で起こる可能性があります。

頻度がわかっていない副作用としても、心筋梗塞、起立性低血圧、狭心症、緑内障などが報告されています。

他にも稀な副作用もありますので、添付文書等を良く確認した上で服用するようにしてください。

レビトラと頭痛

レビトラで頭痛が出る原因

レビトラをはじめとするED治療薬の副作用として、頭痛が高い頻度であらわれることが知られています。

多くのED治療薬の作用機序は、PDE-5を選択的に阻害してペニスへの血流量を増加させることによります。このとき、ペニス以外の血管も拡張されてしまうため、脳の血管が広がると頭痛を引き起こしてしまいます。

頭痛の症状がひどい場合には、性交渉は一時中断して安静にしてください。めまいやふらつきの症状があらわれている場合には、起き上がらずに横になるようにしてください。服用後、時間が経過することでレビトラの作用も弱まり症状は治りますが、症状が改善しない場合は、医師または薬剤師に相談してください。

レビトラ服用後に毎回のように頭痛が起こる場合には、レビトラの作用が過剰になっている可能性があるため、次回使用する際は、レビトラの減量を検討するようにしてください。ただし、最小限まで減量しても頭痛がする場合は、レビトラが効きやすいまたは別の原因が考えられます。

薬の副作用以外の可能性もあるため、医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしてください。

頭痛でロキソニンの併用

レビトラを服用してから強い頭痛があらわれた場合には、まず安静にしてください。頭痛が続く場合には、ロキソニンなど市販の痛み止めや頭痛薬を服用しても問題ありません。

ただし、頭痛薬や痛み止めのお薬は、あくまでも対症療法になります。頭痛・めまい・ふらつきが改善しない場合には、医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしてください。

レビトラと神経障害

勃起がおこるためには、視覚や触覚などを通して受けた性的刺激が脳に伝わり、陰茎に伝わらなくてはなりません。これらの刺激は、すべて「神経」を介してやり取りがおこなわれるため、神経障害がおこっていると、勃起がうまく起こらないことがあります。

神経障害はさまざまな原因によってあらわれますが、中でも多いのは、糖尿病によっておこる「糖尿病性神経障害」です。

糖尿病性神経障害は、血液中の糖の濃度が高くなることで「ソルビトール」とよばれる物質が神経内に蓄積して、神経に変性をきたします。米国の研究によると、糖尿病の男性でEDを発症する割合は、糖尿病でない男性の2~3倍高くなるということが報告されています。治療には、健康な方のEDと同様に、レビトラやバイアグラなどのPDE-5阻害薬が用いられます。

そのほかには、事故などによる外傷が原因となって、神経障害を引き起こすこともあります。

これらによって引き起こされる神経障害性EDでは、レビトラなどのED治療薬の効果がうまくあらわれないこともあるので、注意が必要です。

軽度であればED治療薬で効果があらわれることも多いですが、重度のEDにおいては、原疾患の治療を優先するようにしましょう。

レビトラと器質性ED

EDの原因の一つとして、「器質性ED」というものがあります。これは、身体に何らかの原因があることで、物理的に勃起がさまたげられるタイプのEDのことをあらわしています。

中でも、勃起と血管機能の間には密接な関係があるので、血管機能の低下はEDの大きな原因の一つといえます。血管機能の低下をおこす原因として多いものには、加齢による動脈硬化の発生や、糖尿病や高血圧、高脂血症をはじめとるする生活習慣病の進展などがあります。

年をとると性機能がおとろえることは誰もが知るところですが、その理由の一つとなっているのは、これらの血管機能の低下です。血管の弾力性が失われることによって、勃起に必要な血液を陰茎に送り込むことができなくなり、EDを引き起こします。

レビトラなどのED治療薬には、血管内皮の機能を改善するはたらきがあることも知られています。

しかし、動脈硬化があまりに進展している場合においては、期待した効果が発揮されないこともあるので、注意が必要です。

レビトラと心因性ED

EDの原因の一つとして、「心因性ED」というものがあります。これは、身体の機能や構造そのものには問題がないものの、心理的・精神的な要因がEDを引き起こすことをあらわしています。

うつ病や心身症といった精神疾患だけでなく、職場のストレスや人間関係、家庭問題、過去のトラウマなど、原因はさまざまです。正常な勃起がおこるためには、身体の機能に問題が無いだけでなく、精神的にも性行為にのぞめる状態でなくてはなりません。性行為に対するトラウマや焦り、パートナーに対する不信感、緊張がある場合には、心因性EDを引き起こしてしまうのです。

レビトラなどのED治療薬は勃起を強く助けるので、心因性EDに対しても高い効果を発揮します。

しかし、心理的なトラウマが大きすぎる場合や、根本的な解決が見られない場合には、身体が性行為をしたいという状態に向かわないため、ED治療薬が効果を発揮しないこともあります。

そのような場合には、精神安定剤を併用することで、相乗効果をもたらすことが期待されます。

このとき用いられる精神安定剤としては、抗不安薬(マイナートランキライザー)とよばれる種類のお薬が汎用されています。現在用いられている抗不安薬は、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬とよばれるものがほとんどです。大脳辺縁系の神経活動をおさえることで、不安な気持ちを取り除き、心因性EDの治療効果を発揮します。

基本的には、短時間作用型の抗不安薬である、リーゼ(クロチアゼパム)やデパス(エチゾラム)が処方されます。服用してから効果があらわれるまでに、1~3時間程度が必要となるため、性行為の1~3時間前を目安に服用するようにしましょう。

慢性的に抗不安薬が必要である症例においては、長時間作用型の抗不安薬の方が適している場合もあるので、医師の診察を受けることをおすすめします。過度の連用によって薬物依存を生じることもあるので、抗不安薬を漫然と使用することは、避けるようにしてください。

抗コリン作用や筋弛緩作用を有しているお薬や、抗精神病薬を服用している方、緑内障の方、眼圧の高い方、重症筋無力症の方は、原則として抗不安薬は服用できません。

抗不安薬の副作用として、眠気や注意力の低下、反射運動能力の低下が起こる可能性があるので、高所作業や自動車などの危険を伴う機械の操作は控えるようにしてください。

レビトラと薬剤性ED

EDの原因の一つとして、「薬剤性ED」というものがあります。抗うつ薬や精神安定剤、降圧剤、AGA治療薬などを服用している場合には、高い頻度でEDがあらわれることが知られています。

中でも、抗うつ薬として用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、脳内のセロトニン濃度を高めることではたらきますが、副作用として性機能障害や射精障害がおこることがわかっています。

また、プロペシアやフィンペシアなどのAGA治療薬は、男性ホルモンに対して影響をおよぼすため、性機能障害をおこす可能性が示唆されています。

これらの薬剤性EDの場合においても、レビトラなどのED治療薬を服用することで陰茎の血流を増やし、勃起力を高める効果が期待できます。

しかし、併用薬の変更や中止を行わない限りは、EDを引き起こす要因を排除することはできないので、期待した効果があらわれない場合もあります。

レビトラを服用することができない方

下記に該当している方はレビトラを服用することができません。

(1)過去にレビトラの有効成分バルデナフィルに対してアレルギーなどの過敏症が現れた方は使用できません。

(2)硝酸剤、一酸化窒素(NO)供与剤を服用している方は使用できません。

該当するお薬は、ニトログリセリン・バソレーター・ミオコール・ミリステープ・ニトロダームTTS・ミニトロテープ・メディトランステープ(ニトログリセリン)、ニトロール・フランドル・(硝酸イソソルビド)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、シグマート(ニコランジル)等になります。

併用することによって過度に血圧が下がる恐れがあるからです。

また、海外でレビトラとニトログリセリンの舌下錠を併用による相互作用を検討した臨床試験において、重篤な低血圧が2例現われたとの報告があります。

(3)心血管系障害があり、性行為をすること自体が適当ではないと判断される方は使用できません。

(4)先天性QT延長患者(QT延長症候群)、クラスⅠA群のアミサリン(プロカインアミド)、リスモダン(ジソピラミド)、リスモダンR(リン酸ジソピラミド)、硫酸キニジン(キニジン)、シノベール(シベンゾリン)、ピメノール(ピルメノール)またはクラスⅢ群のアンカロン(アミオダロン)、ソタコール(ソタロール)、シンビット(ニフェカラント)の抗不整脈薬を服用中の方は使用できません。

“先天性のQT延長を有する患者(QT延長症候群),あるいはQT延長が報告されているクラスIA(キニジン,プロカインアミド等)又はクラスⅢ(アミオダロン,ソタロール等)の抗不整脈薬を投与中の患者では本剤服用後にQT延長が増強されるおそれがある”

(5)脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往歴が6カ月以内にある方は、安全性が検討されていないため使用できません。

(6)重度の肝障害のある方

(7)血液透析が必要な腎障害、低血圧(90mmHg未満)または未治療の高血圧(170/100mmHg以上)、不安定狭心症のある方

(8)CYP3A4を阻害する薬剤は服用することができません。

ノービア(リトナビル)、クリキシバン(インジナビル)、アタザナビル(レイアタッツ)、インビラーゼ(サキナビル)、レクシヴァ(ホスアンプレナビル)、カトレア(ロピナビル・リトナビル)、ヴィキラックス(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)、プリジスタ(ダルナビル)、テラビック(テラプレビル=販売中止)、ケトコナゾール(=外用剤を除く)、イトリゾール(イトラコナゾール)、コビシスタット含有製剤のスタリビルド(エルビテグラビル、ゲンボイヤ、プレジコビックス)を服用中の方が該当します(併用禁忌の項に詳細を記載しています)。

(9)アデムパス(リオシグアト)を服用中の方は血圧の低下が起こるので、レビトラを使用することはできません。

(10)網膜色素変性症の方(ホスホジエステラーゼの遺伝的障害をもつ症例が少数認められる)

レビトラと併用できないお薬

下記の薬剤を服用中の方は、レビトラを服用することができません。

(1)ニトログリセリン・バソレーター・ミオコール・ミリステープ・ニトロダームTTS・ミニトロテープ・メディトランステープ(ニトログリセリン)、ニトロール・フランドル(硝酸イソソルビド)、アイトロール(一硝酸イソソルビド)、シグマート(ニコランジル)等の硝酸剤、一酸化窒素(NO)供与剤を服用している方。

(2)アミサリン(プロカインアミド)、リスモダン(ジソピラミド)、リスモダンR(リン酸ジソピラミド)、硫酸キニジン(キニジン)、シノベール(シベンゾリン)、ピメノール(ピルメノール)、アンカロン(アミオダロン)、ソタコール(ソタロール)、シンビット(ニフェカラント)の抗不整脈薬を服用中の方 以下のお薬は、バリフとの併用により、バリフの作用が過剰になります。血圧が低下するなど危険な状態になる可能性があるので服用しないでください。

(3)ノービア(リトナビル)、クリキシバン(インジナビル)、アタザナビル(レイアタッツ)、インビラーゼ(サキナビル)、レクシヴァ(ホスアンプレナビル)、カトレア(ロピナビル・リトナビル)、ヴィキラックス(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)、プリジスタ(ダルナビル)、テラビック(テラプレビル=販売中止)、ケトコナゾール(=外用剤を除く)、イトリゾール(イトラコナゾール)、コビシスタット含有製剤のスタリビルド(エルビテグラビル、ゲンボイヤ、プレジコビックス)を服用中の方

(4)アデムパス(リオシグアト)を服用中の方は血圧の低下が起こるので、レビトラを使用することはできません。

レビトラを服用する場合に注意が必要な方

以下の方はレビトラを服用する際注意してください。

ペニスに損傷が起きている方が該当しており、ぺニスが折れて曲がっていたり、ペニスの皮膚が硬い感じになる繊維化、ペニスにしこりができるペロニー病になります。これらの方は性行為が難しく、レビトラ服用後、性行為中に痛くなる可能性があります。

鎌状赤血球性貧血や多発性骨髄腫、白血病などの方は、持続性勃起症になるおそれがあります。

レバチオ・バイアグラ(シルデナフィル)、アドシルカ・ザルティア・シアリス(タダラフィル)の有効成分を含有したホスホジエステラーゼ-Ⅴを阻害するお薬、または他の勃起不全治療薬を服用中の方は、併用の使用経験がありません。そのため、医師の許可なく併用しないようにしてください。

血が止まらなくなったりする出血性疾患や胃腸の炎症や出血がみられる消化性潰瘍のある方は、併用の安全が保証されていません。一酸化窒素(NO)供与剤の血小板凝集作用が強まることが報告されています。

CYP3A4を阻害する薬剤を服用中の方は、レビトラの作用が過剰に現れる可能性があるため、レビトラの1回量として5mgを超えないようにしてください。エリスロシン(成分名エリスロマイシン)、クラリス・クラリシッド(成分名クラリスロマイシン)などのマクロライド系抗生物質やカソデックス(ビカルタミド)が該当します。

65歳以上の高齢者(臨床試験で健康な18〜45歳と66〜78歳の男性を比較したところ、後者の方がお薬の血中濃度(AUC・Cmax)約1.3〜1.5倍と高かった報告がありました)

中程度の肝障害のある方は、低用量の5mgから使用するようにしてください(レビトラの血中濃度が上昇することが認められています)。

α遮断薬を使用中の方は、併用すると血圧が低下することがあります。血圧効果の治療が安定している状態を確認した上で、低用量の5mgから使用するようにしてください。また、併用する際は、α遮断薬との使用間隔を考慮するよう医師に相談してください。これらに該当するようなお薬は、エブランチル(成分名ウラピジル)、ハイトラシン・バソメット(成分名テラゾシン)、カルデナリン(成分名ドキサゾシン)、デタントール((成分名ブナゾシン)、ミニプレス(成分名プラゾシン)、ハルナール(成分名タムスロシン)、フリバス(成分名ナフトピジル)、ユリーフ(成分名シロドシン)

カルペリチドを使用中の方は、降圧作用が増強する恐れがあります。

CYP3A4を誘導する薬剤(リファンピシン等)を使用中の方は、レビトラの作用が減弱するおそれがあります。