性器ヘルペス(GH)の症状と治療

「性器ヘルペスとは」とは

性器ヘルペスは英語でGH(Genital Herpes)と呼ばれますがヘルペスウイルスが原因で性器や肛門周辺に「水ぶくれ」の症状が発生する病気です。性行為で感染する性感染症の一つで、多くの男女が感染し得る稀な性病ではありません。ヘルペスは投薬治療が可能ですので、ヘルペスについて十分理解を深めてからの治療をお薦めします。

性器ヘルペス感染の現状

性器ヘルペスの感染率は日本より欧米の方が高いことで知られています。日本国内の患者さん数の統計は正確にはわかっていませんが、性器ヘルペスの感染率の高い欧米では「単純ヘルペスウイルス2型(ヘルペスウイルスの一種」の感染率は約20%と高く、5人に1人がヘルペスウイルスに感染していると言われています。ただヘルペスに感染して症状が出ていても性器ヘルペスと自覚している率が低く、大部分のヘルペス感染者に自覚がないと言われています。性器ヘルペスの感染率は女性の方が高く、驚くことに全体で見ると女性の感染数は男性の2倍とされています。また、年代によって男女差が大きくかわることも特徴です。

ヘルペスの感染

男女とも20代から30代にかけての感染数が高く、ヘルペスウイルスの感染率は近年、毎年少しずつ増加しているようです。ヘルペスウイルスの症状への自覚がない患者が多いことから、ヘルペス感染に気づかずに性行為におよんで知らず知らずに感染しているケースが多いことが想像できます。

ヘルペスの感染

性器ヘルペスの感染に至るまで

性器ヘルペスは人との接触にて感染する感染症で、初回の感染は主に性行為による感染です。ヘルペスウイルスに感染すると性器表面に水泡ができ、性行為により感染することがあります。性行為で性器の接触からヘルペスウイルスが感染することが主な感染経路ですが、オーラルセックスにより「口唇ヘルペスウイルス(口のまわりに発症するヘルペス」が性器に感染することがあります。また、口唇ヘルペスウイルスがある場合、自分の手でヘルペスウイルスを性器に移してしまうこともあります。口唇ヘルペスの症状が見られる場合はオーラルセックスは避けてください。

ヘルペスの感染

性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスが発症すると、性器にぶつぶつや水泡、皮膚のただれ等の症状が現れます。初回の発症の場合は発熱や痛いをともなうことが多いですが、再度の発症の場合は水泡程度の症状で痛みは伴わないことが普通です。

男性の症状

  • ペニスの先端(亀頭)、ペニスの包皮、陰茎部分、肛門周り等に水泡やぶつぶつが現れます。

女性の症状

  • 外陰唇、膣の入り口や肛門周りなどに水泡やぶつぶつが発症します。

ヘルペスウイルスは性行為等でウイルス感染して4日~10日潜伏期間があり、その後発症します。特に初感染の場合は感染している部分に痛みがあり38度を越す発熱が現れることもあります。感染部にできた水泡はやがてつぶれてただれた状態になります。女性の場合、排尿時にかなりの痛みが生じることもあり、排尿ができないくらいに痛むケースもあります。正しい治療をすると約1週間で完治しますが、放置した場合は3週間ほどかかります。

ヘルペスの感染

ヘルペスの再発について

ヘルペスの初回感染は症状が深刻になりえるとお話しましたが、完治してから再発することがあります。再発は通常1ヶ月から12ヶ月後におこることがあります。症状は軽いもので、水泡やただれの症状が現れます。再発の原因は、体内に残っているヘルペスウイルスが何らかのきっかけで活発化するためです。そのため性行為等で再度ウイルスに感染したものではありません。通常、ストレスや心身の疲れ、女性の場合は月経前に再発症することが多いとされています。

ヘルペスの治療薬

ヘルペス症状の治療(ヘルペスウイルスの除菌)は英国グラクソスミスクライン社製造の以下2種類のお薬が頻繁に用いられます。

  • バルトレックス(Valtrex)

    特徴:有効成分「バラシクロビル」のヘルペス治療薬です。ヘルペスウイルスの増殖を阻止するだけでなく、性器ヘルペスの再発も抑制する効果があるとされている抗ウイルス薬です。

    • 効果効能: 抗ヘルペスウイルス
    • 服用方法:吸収効率が良いため、1日1~3回の服用で済みます。

  • ゾビラックス(Zovirax)

    特徴:有効成分「アシクロビル」のヘルペス治療薬です。ゾビラックスもヘルペスウイルスの増殖を阻止するだけでなく、性器ヘルペスの再発も抑制する効果があるとされている抗ウイルス薬です。ゾビラックスは世界120カ国以上で使用されているヘルペス治療薬です。

    • 効果効能: 抗ヘルペスウイルス
    • 服用方法:吸収効率が良いため、1日1~3回の服用で済みます。