更年期障害とは

更年期障害とは、ふつう女性の閉経期前後におきる心身の不調を指しますが、男性にも40代後半から60代にかけて、同じような心身の不調がおきることがあります。

女性の更年期障害は、卵巣の活動が終息に近づくことで、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に低下することによって生じます。

男性の更年期障害は、中年以降に男性ホルモンのテストステロンの分泌が低下することによって生じます。

また最近は、20代、30代の女性にも更年期障害に似た症状が現れるケースが増えて、若年性更年期障害といわれています。

これも女性ホルモンの低下による自律神経の失調症で、過激なダイエットなどをきっかけに発症します。

女性も男性もホルモンバランスの変化によって自律神経が失調することでさまざまな症状が現れます。

自律神経は身体のあらゆる機能をコントロールする神経なので、症状は広い範囲にわたり「不定愁訴」といわれることもあります。

更年期障害の治療はホルモン療法が中心になりますが、生活習慣の改善や、心の不安を取り除く物の見方や考え方を養うことも重要なポイントになります。

女性更年期障害の症状

▼更年期障害の症状

自律神経は人体のほとんどの機能に関係しているので、更年期障害すなわち自律神経失調症は実にさまざまなところに出てきます。どこに症状が現れるかは人によって違います。

更年期障害のもっとも代表的な症状は「ホットフラッシュ」といわれる、顔のほてり、のぼせ、突然の大量の発汗で、更年期障害の人の7~8割に現れます。

その他で多いのは次のような症状です。

  • 動悸
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 手足の冷え
  • めまい、ふらつき
  • だるさ、倦怠感
  • むくみ
  • 不眠
  • 抑うつ気分
  • イライラ、不安

症状がこのように多岐にわたるので更年期障害は「不正愁訴」と呼ばれていた時期もありました。

生命に関わる症状ではないので、家族や周囲に理解されにくく同情が薄いのが、患者にとって辛いところです。

女性更年期障害の原因

▼更年期障害の原因

女性の更年期障害の原因は、卵巣の活動の終息にともなう女性ホルモンの急速な低下です。それによって自律神経のバランスがわるくなることでさまざまな症状が現れます。

自律神経は、暑いときに発汗を促す、走ると心臓の同期が早くなるなど、無意識のうちに身体の働きを調節する神経で、交感神経と副交感神経がアクセルとブレーキの役目をしてさまざま生理機能をコントロールしています。

女性ホルモンは妊娠や出産にかかわるホルモンですが、その他にもさまざまな生理機能に関係していて、その分泌が急速に低下すると自律神経のバランスをくずす原因になります。

女性更年期障害の治療法

▼ホルモン補充療法

更年期障害の治療は、おもに女性ホルモンのエストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)でおこないます。エストロゲンと黄体ホルモンを両方を補充することもあります。

エストロゲンの補充は、錠剤の服用、皮膚に張るパッチ、皮膚に塗るジェルなどで行ないます。錠剤の代表的なお薬にプレマリン錠1.25mgプレマリン錠0.625mgまたは0.3mgがあります。

黄体ホルモンを補充するお薬としては、「プロベラ錠」やそのジェネリックの「メプレート」などがあります。エストロゲンと黄体ホルモンの両方を配合したお薬もあります。

更年期障害の治療に使うホルモン剤は、避妊用の低用量ピルよりもさらに低用量です。

低用量ピルを閉経後も使い続けるのはホルモンの摂取過多になる可能性があるので望ましくありません。

エストロゲン錠、パッチ、ジェル、黄体ホルモン錠などは婦人科で処方されますが、個人輸入で低価格のジェネリックを購入することもできます。

▼その他の対症療法薬

不眠の症状があるときに睡眠導入剤を使う、抑うつ気分が強いときに抗うつ剤を使うなど、症状に合わせて対症療法薬が使われることがあります。

病院によっては漢方薬を処方する場合もあります。

女性更年期障害とサプリメント

更年期障害のサプリメントにおもに配合されているのは、女性ホルモンに似た作用をする成分です。

女性ホルモン様のはたらきをすると言われている成分には、

  • 大豆イソフラボン
  • ある種のハーブ(アショカ ツリーなど)
  • ローヤルゼリー
  • マカ
  • プラセンタ(胎盤エキス)
  • アスパラガスなどに含まれるアスパラギン酸

などがあります。

女性ホルモンの分泌を活性化させると言われるサポニンを配合したサプリメントもあります。

サポニンを豊富に含むものには高麗ニンジン、田七ニンジンなどがあり、そのエキスを配合したサプリメントがあります。

このほかに、ホットフラッシュといわれる更年期障害特有の顔のほてりや発汗を防ぐ甘草などの薬草などが配合されたものがあります。

女性更年期障害の生活上の対処法

更年期障害は女性の家事や仕事に大きな影響をおよぼす病気です。

精神的に不安定になり、抑うつ気分や不安が大きくなるケースも多いので、毎日の暮らしに幸福を感じられなくなることもあります。

このように更年期障害は女性のQOL(生活の質)をおおきく低下させる病気ですが、生命には関わらないので家族や同僚などに理解や同情がとぼしいことが、さらに患者を苦しめることになります。

以前のようにてきぱきと家事をこなすことができなくなったのを、夫や家族から怠けているとかふてくされているなどと誤解されることすらあります。

更年期は閉経前後の10年という長期間にわたるので、つらい症状や周囲の無理解をただ耐えるだけではなく、積極的に治療することが望まれます。

家族とくに夫に更年期障害について理解してもらうことも重要です。

また、精神的に滅入ると症状はさらに悪い方に傾くので、調子がいいときは軽い運動や外出、レクリエーションなどで気晴らしをすることも大切です。

気分が落ち込んでいるときは物事を悪い方へとらえがちになるので、人間関係をこわしてしまうことがあります。自分の物の見方や感じ方のクセに気づいて、修正していく努力も必要です。

女性に多い、若年性更年期障害とは

若年性更年期障害は、まだ更年期には間がある20代、30代の女性におきる更年期障害に似た症状で、「プチ更年期」といわれることもあります。

▼若年性更年期障害の原因

若い女性にプチ更年期が訪れる原因は女性ホルモンの不足やバランスの乱れです。

  • 過激なダイエット
  • 失恋や仕事上のトラブルなどの強いストレス
  • 長時間労働などによる過労
  • 不規則な生活
  • 過剰な運動、トレーニング

などによってエストロゲンの分泌をコントロールする脳の視床下部に不調が生じると、ホルモンのバランスがくずれて更年期障害によく似た症状が現れます。

▼若年性更年期障害の症状

若年性更年期障害の典型的な症状は、月経不順や月経の停止です。

また、ホルモンバランスの乱れによって自律神経の失調がおきるので、ほてり、のぼせ、大量の発汗、めまい、頭痛、肩こり、手足の冷えなど、更年期障害と同じ症状がでてきます。

イライラ、気分の落ちこみ、感情の突然の変化などの精神的な症状が現れることもあります。

▼若年性更年期障害の治療

薬物療法としては、避妊用の低用量ピルで女性ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンを補充するのが基本です。

低用量ピルは月経不順を解消するとともに、ホルモンバランスの乱れからくる自律神経の失調によるさまざまな症状を改善します。

日常生活では、過激なダイエットをしないことはもちろん、できるだけストレスをためずに、規則正しい生活をすることが大切です。

食生活では甘いものの摂りすぎをひかえて、バランスの良い食事をするように心がけましょう。アルコールの飲み過ぎも良くありません。

男性更年期障害とは

男性更年期障害とは、40代以降に男性ホルモンのテストステロンの分泌が低下することによって生じる症状です。

性欲減退や勃起不全のほかに、自律神経の失調によって女性の更年期障害に似た症状が出ることがあります。

女性は閉経によって女性ホルモンの分泌が一気に低下するので多くの人に更年期障害(自律神経失調症)が現れます。

男性にそのような劇的な変化は訪れませんが、年齢とともにゆるやかに男性ホルモンの分泌は減少し、人によって男性更年期障害と呼ばれる症状が現れます。

男性更年期障害の特徴は性機能の低下だけでなく、気分が落ち込む、物事に取り組む意欲や集中力が低下する、などの精神的な症状が多いことです。

身体症状としては、めまいや動悸、顔のほてり、大量の発汗など、自律神経失調によるさまざまな症状があります。

男性更年期障害の治療はテストステロンを補充するホルモン療法が中心ですが、症状に合わせて睡眠導入剤抗うつ剤などが使われることもあります。

テストステロンの分泌量は年齢的な要因だけでなく、闘争心や好奇心などの精神的な要因に大きく左右されます。

定年退職で生活に張りがなくなったときなどに更年期障害を発症する例は少なくありません。

男性更年期障害の原因と症状

▼男性更年期障害の原因

男性更年期障害は男性ホルモンのテストステロンの分泌が低下することによって起きます。

テストステロンはおもに睾丸で作られるホルモンで、20代をピークに30歳くらいからじょじょに分泌量が低下します。

テストステロンの年齢による低下は非常にゆるやかで個人差も大きく、女性に比べると更年期障害の発症率は大幅に低くなっています。

高齢でも挑戦的に仕事をするなど積極的に生きている人はテストステロンの量が多く、30代の平均値を超えるケースもまれではありません。

逆に40代、50代でもストレスや精神的なショックが原因で年齢平均よりもテストステロンが少なることがあり、そのような場合に男性更年期障害が発生しやすいと言われています。

テストステロンは男性ホルモン剤として補充できます。

▼男性更年期障害の症状

男性更年期障害の代表的な症状は性欲の減退、勃起不全などの性機能の低下ですが、無気力、集中力の低下、抑うつ、不安、不眠などの精神的な症状がよく現れます。

勃起力の低下は皆が遅かれ早かれ経験しますが、今ではED治療薬で容易に改善でき、生涯現役は夢ではなくなりました。

また、テストステロンの低下は自律神経の失調をまねくことがあるので、女性の更年期障害と似た自律神経失調症の症状が現れることがあります。

具体的な症状としては、急な発汗、顔のほてり、動悸、めまい、頭痛、筋肉痛などです。

男性更年期障害の治療法

男性更年期の治療は、分泌が低下したテストステロンを補充するホルモン療法と、生きがいを見つけて元気に生活する精神的な療法の2本立てで行ないます。

「男性ホルモンが低下したから元気がなくなる」のと「仕事などがうまくいかず元気がなくなると男性ホルモンが低下する」のとは、どちらが先とも言えない鶏と卵の関係にあります。

男性更年期障害の発症にはほとんどの場合、「将来に希望を持てない」とか「生きがいを感じられない」などの精神的な要因が関係しています。

精神面でのケアをしないで男性更年期障害を改善することはできません。

▼ホルモン補充療法

テストステロン値は泌尿器科や男性クリニックで血液検査をすると分ります。血中遊離テストステロン値が8.5pg/ml以下の場合に、ホルモン補充療法が検討されます。

病院では筋肉注射でテストステロンを補充しますが、錠剤や皮膚から吸収するジェルタイプの男性ホルモン剤もあります。

個人輸入で購入できる商品には錠剤の「アンドリオール(テストステロン)40mg」、経皮吸収剤の「セルノスジェル」などがあります。

▼精神療法

定年退職して生きがいを見失ったらセカンドライフの目標を見つける、仕事にやりがいを感じられない場合は没頭できる趣味をもつ、など精神的に高揚できる生活を送ることが男性更年期障害の治療になります。

ボランティアなどの社会貢献活動を通じて「自分が必要とされている」という実感を持つことも有効です。

家に引きこもらないで人と交わって会話する、屋外で運動をするなども大切です。とくに一人暮らしの男性は会話が少なくなりがちなので注意しましょう。

たとえば、食事も一人でするよりは、美人の女性とする方がテストステロンの分泌が活性化します。

男性更年期障害とサプリメント

男性更年期障害の性欲減退や勃起不全に効果のある天然成分として知られているのは次のようなものです。

  • L-アルギニン /アミノ酸の1種で体内でも合成されますが、加齢とともに合成量が減ります。
  • L-オルチニン /シジミに多く含まれている成分で、肝臓の機能を向上させて疲労回復に役立ちます。
  • マカ /南米アンデスの伝統的な滋養強壮剤です。アブラナ科の植物でミネラルやアミノ酸を豊富に含みます。
  • 亜鉛 /精子の生産に必要なミネラルです。
  • ビタミンB1 /疲労回復、集中力の向上に役立つビタミンです。

ハーブにはストレスを軽減したり、抑うつ気分を改善する効果があります。さまざまなハーブを配合したサプリメントには、インドのアーユルヴェーダ医学の知恵を応用した「ヒマラヤハーブ」があります。

男性更年期障害の生活上の対処法

男性ホルモンのテストステロンは身体的には性機能を高めるホルモンですが、精神的には闘争心、競争心、好奇心、集中力を高める作用があります。

また、逆に上記のような精神活動によってテストステロンの分泌が向上します。

日常生活では次のような行動や気持ちの持ち方にテストステロンを増やす効果があります。

  • やりがいのある仕事に打ち込む。
  • 趣味に没頭する。
  • スポーツで競争する。
  • グループ活動でリーダー的役割を引き受ける。
  • 社交的な場にでて積極的に会話する。
  • 女性と交際する。

最後の「女性と交際する」は既婚者にすすめるわけにはいきませんし、独身でも中高年男性をターゲットにする悪い女性もいるので気をつける必要があります。

女性との交際は性的な関係だけではなく、会話をして冗談を言い合うだけでもテストステロンの分泌を活性化する効果があります。

テストステロン不足を早期に改善するにはホルモン補充療法でテストステロン剤を投与する方法です。

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