痛風とは|症状・原因・治療法

目次

痛風とは

痛風は、体内で尿酸が過剰に作られる人、あるいは尿酸の排泄がスムーズにいかない人に起きる病気です。主にタンパク質に多く含まれるプリン体の老廃物である尿酸の結晶が関節で炎症を起こし、強い痛みが出るのが特徴です。

体に必要なプリン体の約8割は体内で合成されますが、残りの2割が食事から吸収されます。プリン体を多く含んでいる肉や魚などの動物性の食品、大量に摂取しやすいビールなどのアルコールには注意が必要です。

プリン体と尿酸

プリン体はDNAを作るのに欠かせない材料です。髪の毛や唾液、皮膚など体の細胞の1つひとつに必ずDNAがあります。そのためDNAの材料となるプリン体は、体にとって必要な物質です。

新陳代謝で古い細胞が新しく生まれ変わるときにDNAも作りかえられますが、古いDNAに含まれていたプリン体はこのとき代謝されて尿酸になります。尿酸はプリン体が代謝されてできる老廃物なのです。

この尿酸は血液に乗って腎臓まで運ばれ、尿といっしょに排泄されます。このときの尿酸の濃度が尿酸値です。尿酸値が高ければ高いほど、尿酸の血中濃度も高いと推測することができます。

尿酸は水に溶けにくい物質なので、血液中の尿酸が過剰になると一部が結晶化して関節に溜まります。血液の温度が低いほど結晶化しやすいので、体の末端の関節とくに足の先の関節に溜まりやすい性質があります。

痛風の発作が起こる仕組み

痛風の発作は、関節に溜まった尿酸の結晶がはがれたときにおきます。はがれた尿酸の結晶を白血球が異物ととらえて攻撃することで、炎症が起きて熱や腫れ・激しい痛みなどの症状がでます。

これが痛風の発作が起こる仕組みです。尿酸値の正常範囲は、男性が4~6.5mg/dl、女性が3~5mg/dlであり、この値が7.0を超えると、痛風発作がおきるリスクが高い高尿酸血症と診断されます。

痛風は男性が圧倒的に女性より多い病気です。その理由は女性ホルモンに尿酸の排泄を促す作用があり、尿酸値が高くなりにくいからです。そのため女性ホルモンが減少してくる閉経後は尿酸値が高くなりやすくなります。

痛風の症状

通風の発作がもっとも出やすいのが、足の親指のつけ根です。次に出やすいのが足の甲やかかとで、まれに膝に出ることもあります。発作が出た部分は赤く腫れて「風が吹いても痛い」と言われるような強い痛みが出ます。

昔は発作が出ると1〜2週間非常に痛い思いをしていたそうですが、現在は鎮痛薬と発作予防薬があるので、そこまで痛みが長期に渡ることはありません。その後痛みや腫れは自然におさまります。

しかし尿酸値が高いまま放置すると、頻度は人によって違いますが半年に1回か1年に1回は痛風の発作が出ます。特に汗を大量にかく夏に出やすい傾向があります。精神的なストレスが大きいときも発作が起きやすいと考えられています。

薬で尿酸値のコントロールをしていても、何かのきっかけで発作が起きることがありますが、尿酸値をきちんとコントロールしている患者さんの話を聞くと、数年間発作がでていない人が多いです。

尿酸値が高くなる原因

  • プリン体や尿酸を作りやすい体質
  • 尿酸の排せつがスムーズにいかない体質
  • 食事でプリン体を過剰に摂取している
  • お酒をたくさん飲む(ビールなどの醸造酒にはプリン体が含まれています)
  • 水分の摂取不足(夏に痛風の発作がおきやすいのは、汗を大量にかいて体内の水分が減るからです)

などが考えられます。痛風だからとプリン体が含まれない焼酎などの蒸溜酒を飲む人がいますが、アルコール自体にプリン体を増やす作用があるので、たくさん飲むと尿酸値を上げることになるので注意です。

痛風の治療法

痛風で発作(強い痛み)が出た場合

発作が出たときの痛み止めには、ナイキサンやロキソニンなどの消炎鎮痛剤を服用します。また医療機関では、痛風専用のコルヒチンという痛風発作の予防改善薬を併用することが多いです。

初めての発作では痛風と気づかないことが多いので、治療が遅れてしまい痛みや関節の違和感が完全になくなるまでに1〜2カ月かかることもあります。

何回か痛風発作を経験すると、ピリピリするような感じの発作の予兆が分るようになります。そのときに服用して発作を予防するためにも、痛風発作の予防改善薬コルヒチンが使用されます。

尿酸値のコントロール

毎日服用して尿酸値の上昇を防ぐ薬には、体内で作られる尿酸を減らす薬(ザイロリックやフェブリクなど)と尿酸の排泄を促す薬(ユリノームやベネットなど)があります。

尿酸はコントロールできていると1年以上発作がないこともよくありますが、薬を中断してしまうと発作がなくとも尿酸値が高くなり腎臓にダメージをあたえるので、甘く考えるわけにはいきません。

薬で尿酸値をコントロールしているときは、数か月に1回血液検査をして尿酸値の推移を測定します。自己判断で中止するのではなく、必ず医師の診察と検査に基づいて判断するようにしてください。

痛風の予防法

尿酸値が高い人、痛風の発作を起こしたことがある人は、日常生活で次のような注意が必要です。

プリン体の多い食品を控える

プリン体の約8割は体内で合成されるとしても、尿酸値の高い人はやはり食品からのプリン体摂取をなるべく減らす必要があります。

プリン体は植物にも動物にも含まれていますが、とくに多いのが肉や魚の動物性の食品です。そのなかでも、イクラやタラコなどの魚卵やレバーに多く含まれています。

お酒を飲み過ぎない

アルコールにはプリン体の合成をうながす作用があるので、プリン体を多く含むビールを控えるだけでなく、お酒の総量を控える必要があります。

ストレスを貯めない

強いストレスは痛風発作のきっかけになります。尿酸値のコントロールとともにストレスをためない心がけも痛風の発作を予防します。

水分を補給する

大量に汗をかく夏だけでなく水分摂取量が減る冬も水分不足に気をつけましょう。血液の水分が少なくなると尿酸値の血中濃度が上がり発作の原因になります。

痛風の治療薬

消炎鎮痛薬・発作予防薬

激痛で歩けない状態のときは、ナイキサンなどの痛風用の消炎鎮痛薬や発作予防・改善薬としてコルヒチンが処方されることが多いです。ロキソニンやボルタレンなどが処方されることもあります。

高尿酸血症治療薬

痛みが収まれば、高尿酸血症を改善するためにザイロリックやフェブリクなどの尿酸値を抑える薬を飲みますが、食生活の改善や水分補給そして適度な運動によって痛風の改善、予防をしていくことになります。