【抗生物質】レボフロキサシンの効果・飲み方・注意点など
目次
レボフロキサシンとは
レボフロキサシンは、クラビットという商品名で有名な抗生物質です。抗生物質のなかでも特に抗菌力が強いとされるニューキノロン系抗生物質に分類され、さまざまな細菌に効果があるのが特徴です。
国内では2009年に販売が開始された比較的新しい薬で、錠剤以外に注射薬や点眼薬、細粒(粉薬)の剤形でも販売されています。同じ有効成分を配合したジェネリック医薬品も多数販売されており、ジェネリックメーカー各社からレボフロキサシン錠の名称で販売されています。
レボフロキサシンの効果
レボフロキサシンは広範囲経口抗菌製剤に分類され、その名の通りさまざまな細菌に対して効果がある薬です。クラミジアやマイコプラズマ、レジオネラといった細菌に幅広く抗菌作用をもち、グラム陽性菌と陰性菌の両方に適応があるのが特徴です。
感染症の中でも特に呼吸器系の感染症に頻繁に使用されており、肺炎球菌をはじめ一般的な抗生物質では効きにくいとされるマイコプラズマ肺炎にも有効です。また、肺炎などの重い感染症だけではなく、化膿したニキビや中耳炎、副鼻腔炎、膀胱炎などにも使用されます。扁桃腺や喉の炎症にも効果を発揮するため、呼吸器科や耳鼻咽喉科で特に多く使用される傾向にあります。
レボフロキサシンの副作用
抗生物質というとアレルギーの副作用が問題となるケースが多々ありますが、レボフロキサシンはペニシリン系やセフェム系の抗生物質に対してアレルギーを起こしたことがある方でも使用できます。
レボフロキサシンを服用するデメリットとしては、腸内細菌などの体に良い菌の増殖も抑制してしまうことです。そのため、レボフロキサシンの主な副作用として下痢の症状が報告されています。レボフロキサシンを服用後、下痢の症状がひどい場合は服用を中止して他の抗生物質への切り替えを検討してください。また、下痢による脱水症状を防ぐために多めの水で水分補給をするようにしてください。
レボフロキサシンをはじめとするニューキノロン系抗生物質の特徴として、光線過敏症という副作用があります。発症頻度は高くありませんが、日光を浴びた皮膚が赤くなったり、ひどいときは水ぶくれができたりすることがあります。皮膚の弱い人や長期間服用する際には、できるだけ直射日光を避けるようにしてください。
レボフロキサシン服用中の注意事項
レボフロキサシンを服用し始めると、3日~5日程度で症状が落ち着いてきます。服用開始3~5日経過しても症状の改善がみられない場合は、薬の変更が必要な場合もあります。自己判断で服用を継続せず、医療機関を受診するようにしてください。
症状が治まると服用を止めてしまう方も多くいますが、抗生物質を使用した治療では、あらかじめ決められた日数分を最後まで飲みきるのが大切です。治療の途中で服用を止めると体内に残っている細菌を見逃してしまい、再発を繰り返したり、薬剤耐性菌(抗生物質が効かない菌)を発生させたりする恐れがあります。医師から処方された処方日数分全てを、用法用量を守って服用してください。
肝臓や腎臓の病気をもつ方については、通常よりも副作用が出やすくなる可能性があるため、かかりつけ医と相談の上で服用を検討してください。特に腎臓機能が低下している方では、病状によっては服用する薬の量を少なくする必要があります。具体的な基準として、腎機能クリアクリアランスが50以下の方については、服用開始2日目から量を少なくする必要があります。
レボフロキサシンは、妊娠している女性には禁忌となっているため、妊娠の可能性のある女性の方は服用を控えてください。小児の方も服用することができません。また、高齢の方も服用量を調整することが望ましいため、65歳以上の方はかかりつけ医や専門医を受診の上で服用してください。
レボフロキサシンと飲み合わせの悪い薬
抗生物質であるレボフロキサシンは、解熱鎮痛薬のロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)と併用されるケースが多くあります。しかし、国内の臨床試験の結果、レボフロキサシンとロキソプロフェンの併用によりけいれん症状の副作用が報告されているため、注意が必要です。
発生頻度はそれほど高くないため、医師が認めた場合には併用が可能ですが、けいれんの既往歴のある方や、中枢神経に作用する薬を服用中の方は、特に注意する必要があります。腰痛や頭痛などによりロキソプロフェンを処方された際や、歯科医院で痛み止めを処方された際には、レボフロキサシンを服用している旨を申告するようにしてください。また、レボフロキサシンとロキソプロフェンどちらの服用を優先させるのがいいか迷った際には、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。
ロキソプロフェンの他にも、アルミニウムやマグネシウムを含有した胃薬やサプリメント、鉄剤などと併用することで、レボフロキサシンの体内への吸収が低下すると考えられています。吸収の低下により効果が弱まる可能性があるので、これらの薬やサプリメントはレボフロキサシンの服用から1~2時間あけて服用するようにしてください。
レボフロキサシンの服用方法
レボフロキサシンは、国内では250mg錠と500mg錠の2種類が販売されています。服用方法としては、1回500mgを1日1回、1週間以内の日数で服用するのが一般的です。
服用するタイミングは特に決められていませんが、胃腸への負担を軽減できる食後の服用をおすすめします。飲み忘れがないように、毎日一定の時間に服用するのがよいでしょう。多めの水と共に服用し、柑橘系のジュースや牛乳と一緒に服用することは避けた方が良いとされています。
レボフロキサシンによるクラミジア治療
性感染症の中でも感染者数が多いのがクラミジアです。症状は男女差があり、女性の場合は白いおりものやかゆみ、男性の場合は痒みや違和感などの症状が特徴的です。性感染症の中でも感染率も高いクラミジアは、性器以外に喉(咽頭部)への感染もみられます。感染したパートナーとの1回の性行為で感染するリスクは、約50%と言われています。
クラミジアは、症状が落ち着いてからも感染が継続している可能性があります。自己判断で治療を終了することは避け、あらかじめ決められた日数分の薬を飲みきることで再発を防止してください。
クラミジアへの感染は、医療機関を受診して検査する以外に検査キットを購入してご自身で確認することも可能です。心配な方は念のため、検査で感染の有無を確認してみてください。
レボフロキサシンによる膀胱炎治療
膀胱炎は、尿を貯める役割をもつ膀胱に細菌が感染することで起こる病気です。主に働きざかりや更年期の女性に多く発症するとされ、女性は男性に比べて尿道が短いため、特に発症しやすい傾向にあります。膀胱炎は、尿意を我慢したりストレスが溜まったりすることで悪化する場合があり、治療せずに放っておくと腎盂腎炎という重い症状を引き起こす可能性もあります。発症したら、すぐに適切な治療を開始することが大切です。
膀胱炎の感染源として最も多い細菌は大腸菌のため、ほとんどの抗生物質が有効なのですが、ペニシリン系の抗生物質に対しては薬剤耐性を持っているケースが多いのが現状です。そのため、ペニシリンに対して耐性をもつ菌に対しても効果のある、ニューキノロン系抗生物質のレボフロキサシンが頻繁に使用されています。
治りづらい膀胱炎の場合、女性は特に膣などに残存している菌が原因となり、1年以内に再発を繰り返すことがあります。症状が治まった後も、あらかじめ決められた日数分の薬を飲みきることで再発を防止してください。
レボフロキサシンによる蓄膿症治療
蓄膿症とも呼ばれる副鼻腔炎は、風邪などをきっかけとして副鼻腔に細菌が感染し、炎症を起こして膿がたまった状態です。主な症状としては、頭痛や鼻水、鼻づまりなどがあります。治療せずにそのまま放置すると、慢性化して倦怠感や嗅覚障害を引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。また、副鼻腔炎を持つ人はアレルギー性鼻炎や気管支喘息になりやすいという研究結果も報告されています。
鼻水の症状が長く続いたり鼻水の色や臭いが気になったりする場合は、早めに治療することが大切です。マクロライド系の抗生物質は効きにくいことが分かっており、レボフロキサシンをはじめとするニューキノロン系抗生物質が主に使用されています。
レボフロキサシンとアジスロマイシンの違い
レボフロキサシン(商品名:クラビット)とアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)はどちらも細菌の増殖を抑制する作用をもつ抗生物質で、抗生物質のなかでも特に強い効果をもつことが知られています。
レボフロキサシンはニューキノロン系抗生物質に分類され、アジスロマイシンはマクロライド系抗生物質に分類されます。レボフロキサシンは小児への適応がありませんが、アジスロマイシンは小児でも服用できるため、小児用カプセルやドライシロップが販売されています。
どちらもクラミジアなどの性感染症や咽頭・喉頭炎、扁桃炎などに一般的に使用されますが、女性には特にアジスロマイシンが多く使用される傾向にあります。これは、レボフロキサシンが妊婦には使用できないからです。服用期間にも違いがあり、原則1週間の服用が必要なレボフロキサシンに対し、アジスロマイシンは1回きりの服用で済むタイプや、3日間の服用で効果が1週間持続するタイプがあります。飲み忘れを防止できる点では、アジスロマイシンがより便利だといえるでしょう。
レボフロキサシンはペットの感染症に使えるか
サルモネラ腸炎など、ペットの感染症の一部にはレボフロキサシンが有効です。しかし、抗生物質であるレボフロキサシンを自己判断でペットに使用することはとても危険です。
レボフロキサシンが小児への適応がないことや、妊娠中の方が服用できないことから、体に負担が大きく抗菌力が強い薬であるともいえます。レボフロキサシンを使用することで、健康維持に必要な良い菌の増殖まで抑制してしまう可能性があります。ペットが感染症を発症した場合は、自己判断で薬を与えることはせず、必ず動物病院を受診するようにしてください。
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