【まつ毛育毛剤】ルミガンの使い方・副作用・注意点など

目次

まつ毛育毛剤ルミガンとは

ルミガンはアラガン社から販売されている点眼薬で、有効成分としてビマトプロストを0.03%含有しています。アラガン社はボトックスのメーカーとしても有名です。米国、アイルランドに拠点を置く製薬メーカーで、美容医療、アイケア、中枢神経系、消化器系分野の医薬品や医療機器を製造販売しています。

ルミガンは本来、緑内障治療用の目薬です。しかし、まつ毛の毛根を包んでいる毛包を刺激して毛の成長期を延長する作用や毛胞を刺激する作用、メラニン生成を活性化する作用があるため、まつ毛育毛剤としても知られています。長くしっかりした濃いまつ毛を生やす効果があるため、世界中で非常に人気があります。

従来、ルミガンのまつ毛育毛剤としての使用は、原因不明でまつ毛が薄くなる特発性まつ毛貧毛症や、抗がん剤の副作用が原因のまつ毛貧毛症の治療といった、医療目的での使用が中心でした。しかし最近では、まつ毛エクステ並みの効果があるとの口コミが若い女性の間で広まり、美容目的で使用されることも増えてきています。

ルミガンは国内では未承認の薬ですが、同じ有効成分を含むグラッシュビスタについては国内でも承認を受けており、美容クリニックなどで販売されています。

緑内障用の目薬が育毛剤として使用される理由

ルミガンの有効成分であるビマトプロストは、プロスタグランジン製剤と呼ばれています。ビマトプロストには、眼圧を下げる効果があります。そのためルミガンは、眼圧が上がる目の病気である緑内障の治療薬として開発され、日本を含む世界中で広く使用されていました。

そんななか、ルミガンを実際に使用している緑内障の患者から「まつ毛が濃くなった」という多毛の副作用が多く報告され、その後の臨床試験でまつげの育毛効果があることが正式に確認されました。ビマトプロストには、眼圧を下げる効果以外に、まつ毛を長く太く濃く成長させる効果があることが判明したのです。

そのため、近年は緑内障の治療だけでなく、まつ毛貧毛症の治療や美容目的でのまつ毛育毛剤として、緑内障の患者以外にも広く使用されるようになりました。

まつ毛育毛剤とまつ毛美容液の違い

ルミガンは、まつ毛を成長させる唯一の医薬品育毛剤です。従来のまつ毛美容液では「まつ毛が伸びない、太く濃くならない、量が増えない」という声も多く聞かれていました。

従来のまつ毛美容液は、成長期のまつ毛に対して栄養を与えるといった方法でしか育毛を促すことができず、まつ毛が伸びる途中に自然現象で結局は抜けていってしまうという、効果の薄いものでした。しかし、医薬品であるルミガンは、毛周期に直接働きかけるため、ほとんどの方に劇的な効果が現れます。そのため、これまでになかった作用機序をもつ画期的なまつ毛育毛剤として注目されています。

ルミガンの効果

まつ毛を始めとするヒトの毛髪には毛周期があり、成長初期・成長期・退行期・休止期といった過程で成り立っています。ルミガンの有効成分であるビマトプロストには毛周期のうちの成長期を延長させる作用があり、まつ毛を伸ばす効果を発揮します。

さらに、毛胞を刺激する作用と、黒い色素であるメラニンの生成を活性化する作用も併せ持っているため、これらの相乗効果によってまつ毛は太くかつ濃くなります。ルミガンの使用中に新しく生えるまつ毛は、元のまつ毛よりも黒く太く長いまつ毛になると評判です。毎日継続して使用することで、早くて1ヶ月~2ヶ月ほどで効果が現れ、4ヶ月で最大の効果が得られたという報告もあります。

ルミガンには、まつ毛に対する育毛効果だけでなく眉毛に塗っても同様の育毛効果があるといわれています。実際に眉毛に使用した方から「眉毛が伸びた、濃くなった」との口コミも確認できます。しかし、ルミガンを製造販売しているアラガン社は眉毛に対する研究や試験は行っておらず、各国での承認はまつ毛育毛の用途でしか認められておりません。また、ルミガンには肌に付着すると色素沈着を起こす副作用もあるため、眉毛に使用する際には注意してください。

ルミガンの使用がおすすめの人

まつ毛が短い、薄い、まつ毛エクステで炎症が起きてしまう、まつ毛エクステに通えない、すっぴんでも可愛くありたい、薬の副作用でまつ毛が抜けてしまったといった方には、ルミガンの使用がおすすめです。

ルミガンには毛根自体を増やす作用はないため、まつ毛育毛剤として使用するには、発毛できる毛包があることが前提条件となります。ただ、ほとんどの方には多数の毛包が存在しており、約90%の方にはまつ毛の育毛効果が認められたという報告もあります。

他のまつ毛育毛剤との比較

ルミガンと同様にビマトプロストを0.03%含有しているまつ毛育毛剤としては、ラティース、グラッシュビスタ、ケアプロスト、ビマットの4種類が挙げられます。

ルミガンの販売元であるアラガン社が、緑内障治療用のルミガンと差別化して美容用のまつ毛育毛剤として販売するために開発した薬がラティースです。そのため、ラティースには専用のまつ毛ブラシ(アプリケーター)が付属しているのが特徴です。

ルミガンは緑内障治療薬として認可されているのに対して、ラティースはまつ毛育毛剤として認可されているという用途の違いのみで、ラティースとルミガンは成分や効果は全く同じものです。ラティースには専用アプリケーターが付属しているのと、美容目的での使用が多いこともあり、ルミガンよりもやや高価に価格設定されています。

ラティース

FDA(日本の厚生労働省に相当するアメリカの公的機関)にも認可された安全性の高い薬ですが、日本では認可されていません。

グラッシュビスタ

2014年に日本の厚生労働省から承認された、国内初かつ唯一のまつ毛育毛剤です。アラガン社の日本法人であるアラガンジャパン社が販売しているため、ルミガンやラティースと成分や効果は全く同じです。

国内では、グラッシュビスタはまつ毛の育毛目的で、ルミガンは緑内障の治療目的での使用が承認されています。そのためグラッシュビスタには、上まつ毛の生え際に上手く塗布するための使い捨て専用アプリケーターが付属しています。

ルミガンと比較するとグラッシュビスタは高価ですが、グラッシュビスタを使用して副作用などの健康被害が現れた場合は、国の医薬品副作用被害救済制度による救済給付の対象になるという安心感があります。この制度は、本来は緑内障治療薬であるルミガンをまつ毛の育毛目的で使用した場合には対象外となります。

ケアプロスト・ビマット

ルミガンのジェネリック医薬品としては、サンファーマ社から販売されているケアプロストと、アジャンタファーマ社から販売されているビマットという商品があります。先発品のルミガンと同等の成分や効果でありながら、安く購入できるのが特徴です。有効成分以外の添加物や製造方法がルミガンと若干異なる可能性があるものの、価格重視の方にはケアプロストやビマットがおすすめです。

ルミガンの国内での入手方法

ルミガンは、国内ではまつ毛育毛剤として承認されていません。そのため、美容目的でルミガンを使用したい場合、国内での入手方法は個人輸入が中心となります。日本の医師が海外から輸入し、個人的に処方することは認められているため、自由診療に力を入れている一部の美容皮膚科などで入手することは可能です。しかし、この場合も健康保険は適用できず、全額自己負担での自費診療となります。

ルミガンと同じ効果をもつグラッシュビスタについては、国内で医薬品として認可されているため、一部の眼科や皮膚科、美容皮膚科などの医療機関で、医師による診察を受けた上で購入することができます。ただし、ルミガンの2倍以上の価格が設定されている場合もあります。

ルミガンの使用方法

ルミガンは、1日1回夜寝る前の使用が推奨されています。寝る前に使用することで下まつ毛にも薬液がよく行き渡るのと、発毛などの働きが活発になる22時~夜中2時の睡眠時間帯に薬剤が塗布されている状況を維持できるためです。

洗顔とスキンケアを終え、肌が乾いてから塗布してください。専用アプリケーターもしくは綿棒やアイライナーブラシなどの先端にルミガンを片目につき1滴垂らして浸透させ、上まつ毛の生え際に沿って目に入らないように注意しながら塗布します。用法用量は、必ず守ってください。また、コンタクトレンズを装着している方は、コンタクトに色素沈着する恐れがあります。ルミガンを使用する前にコンタクトレンズを外してください。

まつ毛の生え際以外についたルミガンは、肌に色素沈着を引き起こす恐れがあります。ティッシュやコットンなどで拭き取ってください。

ルミガン専用のアプリケーターや代用の綿棒・ブラシは、衛生面を考慮し、使い捨てとしてください。何度も使用を繰り返すと、雑菌が繁殖して目の炎症を引き起こす恐れがあります。一度使用したら、必ず廃棄してください。

まつ毛以外の部位への使用は基本的には控え、他のまつ毛美容液との併用も避けてください。また、ルミガンと類似の薬効をもつザラカム配合点眼液、キサラタン点眼液、ラタチモ配合点眼液、ミケルナ配合点眼液といった緑内障治療薬との併用もできません。

ルミガンの副作用

ルミガンの副作用としては、目の充血、目の周りの色素沈着、多毛、虹彩色素沈着、痒み、刺激感などが報告されています。

ルミガンの長期使用によって、目の周りの黒ずみ、くすみといった色素沈着が特に起こりやすくなります。色素沈着を避けるため、使用後にまつ毛の生え際以外の皮膚についた薬液をガーゼかティッシュで必ず拭き取ることを習慣づけましょう。

また、点眼後や塗布する際に薬液が目に入った場合は、一時的に物がかすんで見えることが稀にあります。このような症状が現れた場合、症状が治まるまでは危険な作業や運転は控えてください。

滅多には起こりませんが、重大な副作用として角膜障害が報告されています。使用後に目の痛み、痒み、異物感などがあり、症状が強い場合やなかなか改善しない場合は、いったん使用を中止し、すぐに眼科を受診してください。

敏感肌やアトピー性皮膚炎の方は、まぶたがかぶれたり、炎症を起こしたりする可能性が高くなります。これらの副作用に、特に注意しながら使用してください。