いびきの原因
いびきは周囲が迷惑なだけでなく、本人の睡眠の質を悪くするというデメリットもあります。また、慢性的なイビキの陰にはバカにできない病気が隠れていることもあります。
いびきは鼻から喉にかけての空気の通り道(上気道)が何かの原因で狭くなることで生じます。呼吸をするたびに狭いところを空気が通るために、気道の粘膜が震えて音が出るのです。
起きているときにいびきをかかないのは、呼吸の強さを無意識にかげんしているのと、睡眠中は筋肉が弛緩して上気道が狭くなりやすいからです。仰向けに寝る癖のある人は、睡眠中に舌が軌道をふさいでいびきをかきやすくなります。
一時的ないびきの原因には、酔っているときの鼻粘膜の充血や筋肉の弛緩、風邪や花粉症などによる鼻粘膜の炎症などがあります。疲労が大きいときも呼吸のバランスが乱れていびきをかくことがあります。
慢性的ないびきの原因には、あごが小さいなど形体的にイビキをかきやすい場合や、肥満によって上気道が狭くなること、慢性的な耳鼻咽喉科の病気などがあります。
家族が気をつけてあげたい睡眠時無呼吸症候群
大きなイビキをかいて寝ているときに、ときどき呼吸が止まってしまうのが睡眠時無呼吸症候群です。呼吸が止まるのは弛緩した舌が気道をふさいでしまうからです。数秒あるいは数十秒するとひときわ大きなイビキとともに呼吸が復活しますが、一晩中こんなことをくり返しているのですから、睡眠の質は非常に低下しています。
本人は眠ったつもりでも寝不足がたまってきます。こわいのは仕事中や車の運転中の突然の眠気と居眠りです。運転が仕事の人などは大きな産業事故につながることもあります。
睡眠時無呼吸症候群のリスク要因としては「肥満」と「中高年」があります。「男性」が多いといわれますが、女性がならないわけではありません。脂肪で気道が狭くなっているところに、中高年になって筋肉が弛緩してくるのが原因と言われています。
肥満治療には脂肪吸収ブロッカーのゼニカルなどが処方されます。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、歯科装具(マウスピース)の着用などで行ないますが、生活習慣の改善による肥満の解消も大切です。
生活習慣病を悪化させる慢性的ないびき
睡眠時無呼吸症候群に限らず大きないびきは、呼吸による酸素の取り込みの効率を悪くします。寝ている間に血液中の酸素濃度が低下するというのは、血圧を上げる原因になります。
睡眠中も血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進行してさらに血圧が高くなり、糖尿病などの生活習慣病を併発するリスクも高くなります。