EDは精神的なストレスが原因で発症することがある病気なので、うつ病がEDの原因になることはめずらしくありません。うつ病の人がどれくらいの割合でEDを併発しているかという調査はありませんが、EDの患者がうつ病を併発している割合はEDではない人と比べて2.6倍になるという報告があります。
うつ病は重症になると朝布団から起き上がるのも辛くなる病気なので、そういうときはそもそもEDであるかどうかは問題になりません。うつ病の人がEDを意識するのは比較的初期の段階や、回復期の段階だと考えられます。
うつ病とEDの関係には次のような3つの側面があります。
・抑うつ状態(気分の)落ちこみが原因になっている、若い年代に起きる心因性ED
・男性更年期のホルモン分泌(テストステロン)の減少とうつが重なっておきる、複合的な原因のED
・抗うつ剤の副作用で起きる薬物性のED
1、3のケースなら、バイアグラなどのED治療薬の服用が有効な対策になります。ED治療薬は抗うつ剤と併用できますし、うつ病に悪い影響を与えません。むしろ、ED治療薬によってセックスが可能になれば、それがうつ病の症状を改善する効果が期待できます。
3の抗うつ剤の副作用が原因の場合もED治療薬が対策になります。抗うつ薬としてもっともよく使用されている SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がときにEDの原因になることは知られていますが、ED治療薬の服用で改善が期待できます。ただし、抗うつ剤の種類によってはED治療薬が効きにくくなる場合もあるので、薬の変更などを医師に相談する必要があります。自己判断で抗うつ剤の服用を中止するのはたいへん危険です。
2のケースについても少し説明しておきます。男性は年齢とともに男性ホルモンのテストステロンの分泌が減少して、性欲の低下・筋肉量の減少・気分の落ちこみなどの症状が出やすくなります。それがEDの原因にもうつ病の原因にもなるのです。
しかし、テストステロンの分泌量は年齢よりも生き方の元気さとか積極性に大きく左右されるという特徴があります。ED治療薬を使ってでもセックスをしようという態度がテストステロンの分泌を増やして、うつの気分やED症状そのものを改善することが期待できるのです。
1のケースも3のケースも、EDとうつは手を取り合って悪循環の連鎖を起こすこともあれば、反対にその改善がお互いに良い影響を与えることもあります。そして、そのカギは難しいことではなく、ED治療薬の使用というシンプルな解決法にあります。